優秀な上司が自ら会社を去っていく、意外な理由:サカタカツミ「新しい会社のオキテ」(2/2 ページ)
「優秀で仕事もできる先輩たちが、次々と会社を辞めていく」……最近こういう事例が増えているのをご存じですか。当事者に聞いてみたところ、意外な共通点があったといいます。それは……。
大きな枠組で自分の仕事を捉えないと、悲劇がやってくる?
ビジネス社会では「ボヤッとしていてはダメだ。ぬるま湯に浸かったように仕事をしていたら、会社からいつでも切り捨てられるぞ」という、いわゆる「ゆでガエルの法則」的な話が、まことしやかに流布しています。
しかし、今回のケースはまったく逆です。ぬるま湯どころか熱湯に飛び込んで、バシバシ働いたとしても、結果的には、幸せな結果が待っていない。単純に、ポジションが上がれば視野も視座も変わる、それに対応すればいいさ……そううそぶくのは簡単ですが、実際に対応するのはなかなか難しい。
なぜなら、「自分には能力がある=仕事ができる=自分のやりたいように仕事ができる=自分のやりたい仕事ができる=それが会社に貢献している」という図式が、熱湯のなかでもがき続ける間に、身体に染み付いてしまうからです。その図式が成り立ち、会社と自分自身の間が、永遠に相思相愛状態ならいいのですが、残念なことに蜜月は続かない。どちらかが(=この場合は会社)現状の打破を求め、片側が今のままを望むようになる。
そうなると、やりたいことだけをやっていればいい、という状態の終わりを告げる兆しを、見逃さないようにしなければなりません。ただ、この兆しを見逃してしまう人の多くは、能力が高い故にいまの仕事に忙殺されていて、というケースが多いので要注意なのですが。ポイントはたったひとつです。
自分の意見が通りにくくなる状態が、会社から求められなくなる兆し
ある時を境にして、自分の意見、つまりやりたいことが会社から承認されにくくなります。ただ、この兆しはとても分かりやすいのに、割と見逃されやすい。理由はとてもシンプルで、自分自身が「やりたいことと、求められていることを混同してしまう」から。
そう、いままでやりたいことをやってきた、その実績で評価されてきたのですから、今後もそれでいいと思っている。しかし、そのフェーズはとうに過ぎて、別のことを求められていることに気がつかない。だから、自分の意見が通りにくくなっているのですが、当事者にしてみれば、今までできていたことができなくなった、なぜなのだと、別に原因を探してしまいがちなのです。
冒頭に挙げた「この会社でやるべきことがなくなってしまった」という台詞は、そのズレが最後まで解消できなかった結果ともいえるかもしれません。いや、だから不幸というわけではないのです。会社から離れて、自分でやりたいことをする、もしくはやりたいことをやらせてくれる場所を見つければいいのですから。ただ、それはそれで結構骨の折れること、ですけどね。
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