業務提携ってどのように進めるの? JALの達人に“交渉術”を聞いてきた:仕事をしたら“交渉”が成立した(6/7 ページ)
「『業務提携』を担当する人って、厳しい交渉をしなければいけない……」といったイメージがあるが、実際のところはどうなのか。JALでコードシェアを担当している人に、他社との交渉術を聞いてきた。
提携のタイミング
土肥: バンコク・エアウェイズとコードシェアの提携を結ばれたのは、2012年ですよね。タイに行く日本人は、もうずいぶん前から多かったような。ちょっと遅くないですか?
カムチャイパイ: JALは1988年10月に、タイ航空と提携を結びました。しかし、いろいろ制約があって便を増やすことが難しいんです。
土肥: ん? どういうことでしょうか?
カムチャイパイ: JALはワンワールド(航空連合の1つ)に加盟していますが、タイ航空はスターアライアンスに加盟しています。加盟しているアライアンスが違うので、提携内容を拡大させることが難しい。また、タイ航空はANA(全日空)ともコードシェアの提携を結んでいるので、こちらとしては「タイ航空の飛行機を使って、路線を増やしたい」と言いにくいんですよ。
土肥: それは“タイ”変。「タイに行きたい」という日本人は多いのに、飛行機に乗せることができなかったわけですね。
カムチャイパイ: はい。出張や旅行などでタイに行かれる日本人が増えてきたので、バンコク・エアウェイズと提携を結びました。この航空会社は、タイに飛んでいるだけでなく、ミャンマーやカンボジアなどにも飛んでいるんですよ。現時点で、そうした国や地域にJALの飛行機を飛ばしても、なかなか利益が出ません。カバーできないところを補完できるという点も魅力でしたね。
土肥: ただ、やはりタイミングが遅い、と思うんですよ。もう少し早く提携を結ぶことはできなかったのでしょうか?
カムチャイパイ: 以前は会社の規模が小さかったので、提携が難しかったのです。バンコク・エアウェイズはここ数年でとても大きくなりました。お互いが提携のメリットを感じられるタイミングが2012年だったということです。
関連記事
- えっ、前の飛行機を抜いてもいいの? パイロットの知られざる世界
パイロットといえばエリート中のエリートというイメージがあるが、飛行機を操縦しているときどんなことを考えているのだろうか。JALでボーイング777の機長を務める近藤さんに話を聞いたところ、意外な答えが返ってきた。 - ミドリムシがクルマを走らせる? “夢の燃料”ができる日
いすゞ自動車とユーグレナが共同で、次世代の燃料開発を始めるという。ミドリムシの油を使ってクルマを動かすということだが、どのような研究を行うのだろうか。ユーグレナでミドリムシのことを研究している鈴木健吾さんに話をうかがった。 - なぜ新幹線は飛行機に“勝てた”のか
鉄道の未来は厳しい。人口減で需要が減少するなか、格安航空会社が台頭してきた。かつて経験したことがない競争に対し、鉄道会社はどのような手を打つべきなのか。鉄道事情に詳しい、共同通信の大塚記者と時事日想で連載をしている杉山氏が語り合った。 - 1泊2日で16フライト!「アイランドホッピング」でひたすら飛行機に乗り続けてみた
飛行機に乗る――それは、出張や旅行のためとは限らない。「飛行機に乗ること」それだけを目的とした旅もある。今回体験した奄美諸島をめぐる1泊2日の「アイランドホッピング」が、まさにそうだった。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.