お化け屋敷よりも怖い? コンビニの“骨肉の争い”:ご一緒に“おでん”いかがですか(3/5 ページ)
コンビニで“嫌がらせ合戦”が繰り広げられている。どういうことか? 筆者の川乃氏によると、同じチェーンのお店で嫌がらせが起きているという。具体的には……。
以前の「敵」が「強敵」に
人というのは、簡単に切り替えることができる動物ではない――。なんだか哲学者っぽい表現になってしまったが、要するに、看板替えられたオーナーたちは、合併後に「ああだ、こうだ」と言わないほうが賢明だろう。
では「本部のやり方には大賛成。以前のチェーンはダメだった」というオーナーばかりだったら、課題は解決するのだろうか。いや、まだまだある。
看板を替えることによって、以前の競合が競合ではなくなる。「ライバルがいなくなってよかったよかった……」というオーナーもいるかもしれないが、同じ看板を掲げる店舗が近くにあれば微妙な関係になってしまう。
街中には、コンビニがあふれている。看板が違えば、単純に「敵」として認識できる。しかし看板替えによって、以前の「敵」が「強敵」になるのだ。本部の人間は「強敵」ではなくて、「味方」とみているかもしれないが、現場の感覚は全く違う。なぜなら、同じエリアでお客さんを奪い合うことになるからだ。そこに「強敵」と書いて「友」と呼ぶような感情はない。
看板が違えば、競合として真っ向勝負に挑める。扱っている商品も違うし、扱っているサービスも違う。しかし、同じ看板になると、扱っている商品も、扱っているサービスもほぼ同じになる。その土地に以前から住んでいる人であれば「コンビニさんもいろいろあって大変ね」と思ってくれるかもしれないが、たまたま店の前を通った人からは「なんで同じチェーンが乱立しているんだ」と思うはず。
「いやいや、お互いが切磋琢磨しあって、サービスレベルを向上すればいいんじゃないの。それこそ『強敵』と書いて、『友』と呼びあえるようになれば」という人もいる。しかし、それは建前だ。オーナーたちは生活がかかっているので、必死に戦う。その姿は、身内同士の争いになるので、とにかくややこしい。
関連記事
- もう振込用紙を持って来ないで! コンビニが「収納代行」を止めたい理由
「電気・水道・ガス・電話などの利用料金はコンビニで振り込んでいる」という人も多いだろう。しかしこの「収納代行」……とにかく面倒で、コンビニオーナーだけでなく本部も「止めたい」と思っているのではないだろうか。 - コンビニが、何度も「おにぎり100円セール」を行うワケ
「おにぎり100円セール」――。コンビニの店頭にこんなポスターを見たことがある人も多いだろうが、何度もセールを行うことでどういった狙いがあるのだろうか。単に売上増を狙うだけでなく……。 - なぜコンビニのクリスマスケーキは売れるようになったのか――知られざる裏事情
数年ほど前から、コンビニのクリスマスケーキが売れている。理由の1つに「おいしくなった」ことが挙げられるが、それだけでもないらしい。大手コンビニの本部で働き、現在はコンビニオーナーを務める筆者が裏事情を明らかにした。 - コンビニの「シュークリーム」「エクレア」ってどんな味? 科学的に分析した
「コンビニで販売されているスイーツの味はどこも同じようなもの」と思っている人も多いのでは。そこで、味を分析できる機械を使って、コンビニで販売しているシュークリームとエクレアの味を測定してもらった。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.