厚労省と農水省が、「炭水化物」をススメている理由:窪田順生の時事日想(1/4 ページ)
厚労省が定める「食事バランスガイド」をみると、「ごはん」や「パン」といった炭水化物をたくさん食べたほうがいい、と記している。科学的根拠があるわけでもないのに、なぜ炭水化物をススメてくるのだろうか。
窪田順生氏のプロフィール:
1974年生まれ、学習院大学文学部卒業。在学中から、テレビ情報番組の制作に携わり、『フライデー』の取材記者として3年間活動。その後、朝日新聞、漫画誌編集長、実話紙編集長などを経て、現在はノンフィクションライターとして週刊誌や月刊誌でルポを発表するかたわらで、報道対策アドバイザーとしても活動している。『14階段――検証 新潟少女9年2カ月監禁事件』(小学館)で第12回小学館ノンフィクション大賞優秀賞を受賞。近著に『死体の経済学』(小学館101新書)、『スピンドクター “モミ消しのプロ”が駆使する「情報操作」の技術』(講談社α文庫)がある。
『血圧147で薬は飲むな』(小学館)という本を出した東海大学名誉教授の大櫛陽一さんという方がいる。
健診医学の専門家であり、かつて全国約70万人を対象とした健診結果から、日本初の男女別・年齢別基準範囲を発表したことで大きな話題になった大櫛先生は、日本の健康診断や人間ドックで「健康」とされる基準というのが、世界的にもかなり厳しく、これによって飲む必要のない人が薬を飲まされている、ということをかねてより警鐘を鳴らしていらっしゃる。
今回の本も然りで、さまざまなデータから、日本の「健康」というものがいかに恣意的に定められているかということを解説している。興味のある方はぜひ読んでいただきたいのだが、そのなかに個人的に非常に興味深い記述があった。厚労省が定める「食事バランスガイド」についてである。
1日に「何を」「どれだけ」食べたらよいかの目安を分かりやすく並べた逆ビラミッド型の図で、一番上が「主食」である「ごはん」や「パン」という炭水化物。二番目が「副菜」として野菜料理、その下は「主菜」として肉料理、そして牛乳などの乳製品、果物という順番で並んでいるものだ。学校、病院、役所などにポスターが貼られているので、ご覧になったこともあるかもしれない。
これを見ると、まずはとにかく主食として炭水化物をガッツリとり、野菜大目で肉や魚をちょびっというのが理想的な食生活とされているのだが、先生の新著によると、これは欧米の最新医学に照らし合わせると非常にバランスの悪い食生活だというのだ。
その理由は「糖質」である。
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