厚労省と農水省が、「炭水化物」をススメている理由:窪田順生の時事日想(2/4 ページ)
厚労省が定める「食事バランスガイド」をみると、「ごはん」や「パン」といった炭水化物をたくさん食べたほうがいい、と記している。科学的根拠があるわけでもないのに、なぜ炭水化物をススメてくるのだろうか。
「食事バランスガイド」をつくったのは誰か
厚労省がガンガン食えと位置づける「ごはん」というのは実は糖質が高い。「糖質ゼロ」の発泡酒が次から次へと世に出ていることからも分かるように、糖のとり過ぎというのは明らかに身体に悪い。適度にとりましょうと呼びかけるのなら分かるが、なぜバランスの頂点にされるのか。
そこで大櫛先生はある学会で、「食事バランスガイド」の作成に携わった研究者に質問をしたという。
「なぜ炭水化物が一番上になっているのですか? 身体に良いというなにか科学的根拠があるのですか?」
すると、その研究者は気まずそうな顔をして、「そんなもんありません」と答えたという。
健康的な食生活ということではなんの根拠もない「炭水化物」がなぜここまでゴリ押しされているのか。それはこの「食事バランスガイド」を厚労省とともにつくった人が誰かを考えれば分かる。
農林水産省である。
この「食事バランスガイド」の説明文には「望ましい食生活」とあるのだが、主語がない。要するに誰にとって望ましいのかが明記されていないのだ。
国民の健康を司る厚労省が「望ましい」といえば、なんとなく「国民の健康にとって望ましい」というのは分かる。では、同じ理屈を農林水産省に当てはめてみると、彼らが顔色をうかがい、ひたすら保護政策を行ってきた「稲作農家の方たち」が浮かんでくる。
つまり、「食事バランスガイド」というのは「国民の健康にとって望ましい食生活」ではない。国民の健康もちょびっと考慮しつつ、「稲作農家の方たちの生活」に対する気遣いもバランスよく紛れ込ませた「国家にとって望ましい食生活」なのだ。
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