「戦力外」の足音は聞こえていない? 日本ハム・斎藤佑樹の不思議なチカラ:臼北信行のスポーツ裏ネタ通信(2/3 ページ)
かつて「ハンカチ王子」と呼ばれた、日本ハムの斎藤佑樹投手が785日ぶりに勝利した。突出した武器を持っていないのに、なぜ斉藤は現役を続けられているのか。それは……。
サインを求められることもなくなった
右肩関節唇損傷を患うなど、近年はコンディション面にも恵まれていなかった。だが、今年でプロ4年目。斎藤が高校時代に早稲田実業のエースとして当時・駒大苫小牧だった現ヤンキースの田中将大とともに甲子園を沸かせた“サラブレッド”であることを考えれば、そろそろ大成しなければいけない時期のはず。
それでも勝ち星は2011年のルーキーイヤーで6勝をマークしたのが最高で、以降は完全な尻すぼみ。ここまで明らかにパッとしない。投球にも速球を主体に「力でねじ伏せた」と評せるような内容はほとんど見られず、変化球を多投しながら「相手を惑わす」スタイルが大半だ。それに加えて打線の援護によって勝つこともしばしばだから、なかなかファンの支持を得にくい。
別の日本ハム球団関係者はこう言う。
「“佑ちゃんフィーバー”なんていうものは、高校の夏の甲子園決勝でマー君(田中)と投げ合ってから斎藤が進学した早稲田大学野球部時代までの話だね。ウチに入団した当初こそメディアの過剰な報道によって佑ちゃん人気はヒートアップしたように思われているけれど、あれは正直言って作り上げられたもの。まあ、あの盛り上がりはちょっと過剰だったよね。
大学時代に応援していたファンは、それまで斎藤が失敗する姿を見たことがなかったからプロに入って洗礼を浴びまくるシーンに大きなショックを受けて幻滅し、次々と離れていってしまった。練習グラウンドでは移動するたびにファンやメディアに囲まれ、私生活でも追い掛け回されるなんてこともなくなったしね。
今は鎌ケ谷の二軍練習場で斎藤がファンの近くを通っても、サインを求められずにスルーされることもある。彼の実力を考えれば、残念だけど今の状態こそが『健全』と言えるのかもしれない」
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