本部はやっぱり怖い……コンビニが夏に「おでん」を売るワケ:ご一緒に“おでん”いかがですか(3/4 ページ)
暑い夏の日にもかかわらず、コンビニでは「中華まん」や「おでん」といった“熱いモノ”が販売されている。買っている人は少ないだろうに、なぜ暑い日におでんを売っているのか。その理由は……。
本部が「中華まん」「おでん」をススメてくるワケ
ここまで読んでいただいて、こんな疑問を感じた人がいるのでは。「なぜ本部は売れない中華まんとおでんを躍起になってススメてくるの?」と。
競合他社がイチ早く中華まんを売り始めたので、ウチも負けてられない。すぐに販売しよう――という気持ちもあるだろう。実際、昨年に比べて、中華まんとおでんの販売時期が早まっている。例年はお盆後にスタートすることが多かったが、今年は早いチェーンで7月末から販売しているところもある。
あと数年したら、梅雨時期に販売しているかもしれない。いや、ひょっとしたらゴールデンウイーク前後に販売しているかもしれない。「温暖化によって桜前線の北上が早まりました」といった感じで、コンビニ業界では熱い商品の販売時期がどんどん早くなっているのだ。
「競合他社に負けないために、どこよりも早く売る」という競争に勝つためであれば、現場のオーナーもまだ納得がいく。熱いだいこんやこんにゃくを食べる人がたくさん増えればもうかるのだが、現実は甘くない。廃棄ばかりが増えて、損失が膨らむばかり。では、なぜ本部は売れていない商品をススメてくるのか。それは、廃棄する商品が増えても、本部はもうかるからだ。
廃棄が増えても本部はもうかる。一見矛盾した話にも見えるが、ここには会計上のカラクリがある。
通常の商売の場合、廃棄やロスは期末在庫高に反映するので、わざわざP/L(損益計算表)に表記しない(表1参照)。しかしコンビニの場合、P/Lに廃棄分を表記するのが通例だ(表2参照)。なぜかと言うと、ロイヤリティ(フランチャイズ契約を交わした加盟店が本部に対して支払う対価のこと)の計算は粗利益高から算出されているからだ。
廃棄やロスは店の責任だから、本部は一切関係ない。よって、“廃棄ロスはなかった”ことにしてロイヤリティ計算をするという論理だ。とはいえ、この計算方法は議論の的となっている。
本部と加盟店の利害は一致していなければいけないのに、廃棄分が出ても本部がもうかる仕組みは、加盟店にとってあまりにも不利だ。
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