なぜ世の中に悪い人は少なく、いい人が多いのか:仕事をしたら“動物”のことが分かってきた(前編)(2/8 ページ)
「また騙された。正直者がバカをみる世の中はおかしい」と感じたことがある人も多いのでは。トクをするのであれば悪い人が増えそうだが、この世はいい人のほうが多い。なぜか? そこで動物の行動に詳しい、竹内久美子さんに人間の生き方を聞いた。
弱いときのシャコは仲間を威嚇
土肥: 不自然な政務活動費の支出をめぐって、兵庫県議会議員(現在は辞職)の野々村竜太郎氏は、記者会見の席でギャーギャー泣き叫んでいましたよね。国会議員ではないので、「すいませんでした」と普通に謝っていれば、地方紙の神戸新聞が報道して「はい、おしまい」だったかもしれません。
もちろん、疑惑があったので、謝ったくらいで「はい、おしまい」ではいけないのですが、野々村氏はギャーギャー泣き叫んだために、逆に目立ってしまった。テレビ、全国紙、雑誌、ネット……さまざまなメディアが彼のことを報じて、事態が大きくなりました。なぜ、彼はあそこまで泣き叫んだのか。真相は分かりませんが、やっぱり「私たちを騙そうとしていた」と思うんですよ。とにかく大げさに泣けば、マスコミが手心を加えてくれるのではないか、という戦略ですね。
そこで、動物の行動に詳しい竹内さんに質問です。動物界にも自分の立場が悪くなったら敵や仲間を騙して、その場をなんとか切り抜けよう……とする生き物がいるのでしょうか?
竹内: いますね。米国・カリフォルニア大学のR・L・コルドウェルらは、カリブ海の浅い海に生息するフトユビシャコの脱皮状況などについて研究しました。このシャコの体長は5センチほどで、2カ月に1回くらいの頻度で脱皮します。脱皮したばかりの体はとても柔らかいので、この時をどのようにして乗り切るかが彼らの最大の課題なんですよ。
脱皮して3日くらいまで体が柔らかいのですが、そのときに他のシャコ(脱皮直後ではなく、体が固い)が巣穴に侵入しようとします。しかし、脱皮直後のシャコは、ハサミも柔らかいので、攻撃することができません。
土肥: それは大変。で、どうするのですか?
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