なぜ世の中に悪い人は少なく、いい人が多いのか:仕事をしたら“動物”のことが分かってきた(前編)(3/8 ページ)
「また騙された。正直者がバカをみる世の中はおかしい」と感じたことがある人も多いのでは。トクをするのであれば悪い人が増えそうだが、この世はいい人のほうが多い。なぜか? そこで動物の行動に詳しい、竹内久美子さんに人間の生き方を聞いた。
シャコの行動とサラリーマン
竹内: 威嚇するんですよ。巣穴から上半身を出して、ハサミを広げたり閉じたり。でも、このハッタリが通じるのは、2回に1回くらい。「もうダメだ。この威嚇は通じない」と判断したら、すぐに巣穴から逃げるんですよ。とにかく体が柔らかいので、ちょっと攻撃されただけでやられちゃうので。
で、体が固くなってきたら、ハサミを使っての威嚇は減って、今度は直接の攻撃にでるんですよ。
土肥: でも、2カ月に1回は脱皮するんですよね。ということは、また弱くなっちゃう。
竹内: 「自分はもうすぐ脱皮しなければいけない」ということは分かるんですよ。でも、他の連中にはそのことが分からない。そういうときのシャコは、ものすごい攻撃的になるんですよ。ハサミによる威嚇と攻撃の両方で。
土肥: なぜそんなことをするのでしょうか?
竹内: ハサミで威嚇してきたら、次には本当の攻撃がくる――。相手はこのように感じるんですよ。「あいつは怖いなあ」という印象を強く残しておいて、そのスキに自分は脱皮する。つまり、下準備をしておくことで、脱皮直後のハサミによる威嚇が、より効果的に働くんですよね。
私はビジネスの世界のことは詳しくないですが、失敗が明るみに出る前に、周囲に虚勢を張る人がいますよね。同僚や部下のせいにしたり、上司に言い訳をしたり、景気のせいにしたり。そうした行動は、シャコと似ているのではないでしょうか。
土肥: なるほど。ということは、野々村氏も下準備が足りなかったのかもしれない。普段から泣いていれば、マスコミも「また泣いている」となって、大きな問題として取り上げなかったかもしれませんね。
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