なぜ世の中に悪い人は少なく、いい人が多いのか:仕事をしたら“動物”のことが分かってきた(前編)(7/8 ページ)
「また騙された。正直者がバカをみる世の中はおかしい」と感じたことがある人も多いのでは。トクをするのであれば悪い人が増えそうだが、この世はいい人のほうが多い。なぜか? そこで動物の行動に詳しい、竹内久美子さんに人間の生き方を聞いた。
ゲーム「囚人のジレンマ」の勝者
土肥: 先ほど、小さいころから親や学校の先生から「人を騙してはいけない」「他人を思いやりなさい」「マナーを守りなさい」と言われ続けてきた……といった話をしましたが、人間の世界もスズメと同じように弱者は弱者で集まったほうがトクすることが多いのかもしれませんね。
竹内: 「囚人のジレンマ」というゲームをご存じでしょうか。2人のプレイヤーが「協調」と「裏切り」と書かれた2枚のカードを持っていて、どちらかのカードを選び、テーブルに伏せて置く。そのカードをめくるのは胴元で、2人とも「協調」を出したら、胴元の負け。このとき、2人は少しの点数がもらえます。1人が「裏切り」、1人が「協調」を出したら、「協調」を出した人の負け。このとき「裏切り」を出した人は、たくさんの点数がもらえます。2人とも「裏切り」を出せば、胴元の勝ち。点数はもらえません。
さて、ドイさんがプレイヤーだったら、どのカードを出しますか?
土肥: そりゃあ、「裏切り」でしょう。たくさんの点数がもらえるかもしれないので。
竹内: もう1人がどのカードを出すのか分かりませんが、「裏切り」を出すのが最善の策ですよね。ここで相手もまったく同じことを考えるでしょう。結局、2人とも「裏切り」を出すことになり、胴元に点数がころがりこんでしまいます。
しかしこのゲーム、1回だけで終わるのであれば、2人が「裏切り」を出す可能性が高いのですが、何度も行うとなったらどういう戦略がトクをすると思いますか?
土肥: うーん、分かりません。
竹内: 米国の政治学者、ロバート・アクセルロッドは「囚人のジレンマ」ゲームの選手権を開催しました。コンピュータのプログラムを使って戦うのですが、相手との対戦は200回と設定しました。どういった戦いをした人が優勝したと思いますか?
土肥: うーん、うーん、分かりません。
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