人類最大の罪は「農業」? 日本人の人口減少問題を考える:仕事をしたら“動物”のことが分かってきた(中編)(2/6 ページ)
日本の人口減少が問題になっている。このままでは経済に与えるダメージは大きいとして、「海外から移民を受け入れるべきだ」といった声もあるが、人口減は本当に“悪いこと”なのだろうか。
農業がうまくいったので
竹内: 話は少し変わりますが、現代の古人類学では、アフリカに誕生したヒトが世界各地に散らばって、さまざまな人種や民族に進化したとされています。その過程でわれわれの祖先と、いまでは滅んだネアンデルタール人が共存していた時期が1万年くらいあったのです。そこで少し混血も起きたようです。われわれの遺伝子の3〜4%はネアンデルタール人由来だということが最近になって分かりました。
私たちの祖先とネアンデルタール人の何が違うかというと、ネアンデルタール人は狩猟採集しかやっていなかったのですが、われわれは狩猟採集のかたわらで、ちょっとだけ農業を始めたんですよ。農業といっても、今でいう家庭菜園のようなもの。ベランダでプチトマトをつくるといった感じですね。
一方のネアンデルタール人は、狩猟採集だけの生活を送っていたので、獲物のとりすぎに注意していました。「今日の分」「明日の分」「明後日の分」という理由で、どんどんとっていったら、獲物が絶滅するかもしれません。そうなると、自分たちの食料が食べ物がなくなってしまうので、あまりとりすぎないようにしていたんですよね。
土肥: 動物とうまく共存していたわけですね。
竹内: ネアンデルタール人の人口は増えていなかったので、自然界の中でうまくバランスがとれていたのでしょう。
しかし、私たちの祖先は違う。ちょっとだけ農業を始めてしまったことで、余裕が生まれたんですよ。「イモがたくさん採れた」「キノコも採れた」といった感じで。そして、ここからが問題。農業がちょっとうまくいったもんだから、調子にのってどんどん狩猟をしていったんですよ。
土肥: 「生活に余裕ができたから、イノシシをたくさん獲っても問題ないだろう」といった感じですか?
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