人類最大の罪は「農業」? 日本人の人口減少問題を考える:仕事をしたら“動物”のことが分かってきた(中編)(3/6 ページ)
日本の人口減少が問題になっている。このままでは経済に与えるダメージは大きいとして、「海外から移民を受け入れるべきだ」といった声もあるが、人口減は本当に“悪いこと”なのだろうか。
人口は増え、農地は拡大
竹内: はい。学校の授業では「1万年前のメソポタミア文明のときに、大規模な灌漑(かんがい)農業を始めた」と教えてもらいましたよね。でも、考えてみればこれはおかしい。いきなりそんな大規模な農業を始めることはできません。メソポタミア文明の数万年前に、われわれの祖先が家庭菜園のようなものを始めて、徐々に本格的になっていったはずです。
農業の技術を身につけた私たちの祖先は、中東から欧州、アジアへ。その後、ベーリング陸橋(氷河期に現在のアラスカとシベリアの間に存在した地峡)を越えて、アメリカ大陸に。また、太平洋の島々やオーストラリア大陸にも渡っていきました。もちろん、現地に農業の技術を持ち込みました。
土肥: 農業の技術を持ち込んだことで、どのようなことが起きたのでしょうか?
竹内: 祖先が移動したことで、たくさんの動物が絶滅しました。例えば、オーストラリア大陸には4万年前くらいに渡ったのですが、大型動物が13種絶滅しました。農業の技術を持った人間が移動すると、その移動先でどんどん動物をとって、絶滅に追い込んでいった。それが私たちの歴史なんですよ。
土肥: もちろん「農業がすべて悪い」ということでなく、農業によって祖先の思考が変わり、行動も変わったわけですね。
竹内: 農業を始めたら食べ物に余裕が出てくるので、人口が増える。人口が増えると、その人たちを養っていくために、さらに大きな農地が必要になる。そうすると、また人口が増えて、さらに大きな農地……といった感じで、人口はどんどん増え、農地もどんどん拡大していきました。
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