自分の過去記事を検証――牛丼価格戦争の予想は“的中”していた?:数字のオモテとウラを学ぶコラム(2/4 ページ)
消費増税を機に、筆者の眞山さんは「増税後の牛丼バトル――値上げ、値下げ、どちらが支持される?」という記事を書き、Business Media 誠で掲載しました。大手3社の価格戦略は吉と出るのか、凶と出るのかを予想。今回は、その予想が当たっていたのかどうか、検証してみました。
すき家の低価格戦略は「吉と出た」のか?
下のグラフはすき家の売上高の推移です。
右肩上がりに見えますが、100%を超えていなければ前年同月比で「減っている」ことになるので、グラフを見るときには注意が必要です。これを見ると、既存店売上高は増加していますが、全店売上高が減少しています。
つまり、今までどおり営業している店舗では客数、客単価ともに何とか現状を維持できているのですが、店舗数そのものが減少している、というわけです。
私が4月に分析をした時点では、客単価と客数に分解した数字をもとに、「すき家は価格を下げることによるアナウンス効果で、結局は売上を伸ばすことができる」という判断をしたわけです。それ自体は既存店の数字の推移を見ればあながち間違っていませんが、私の想定していないところで、すき家に(そして、牛丼チェーン店業界に)大きな転機が訪れていました。
多くの読者はご存じかと思いますが、それは「人手不足問題」。すき家ではアルバイト人員を確保できず、約2000店舗のうち250もの店舗で、一時的に営業ができなくなってしまいました。そして、すき家を経営しているゼンショーホールディングスは、これを機に店舗のリニューアルなどを進めており、それが「既存店」から除外されていた、ということになります。
もともと、すき家の低価格戦略は店舗のオペレーション効率化など、人件費の削減をベースに成り立っていたものだったわけですが、ここに来てそのシワ寄せが大きく出てしまったわけです。牛丼チェーン業界が単純に価格だけで競争を続けていける時代が終わったということに、4月の時点では私自身気づくことができませんでした。
しかも、その兆候は、以前から明確に見えていたのです。
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