次のブームは? “変わりうどん”が流行る日:仕事をしたら“うどん”のことが見えてきた(後編)(3/5 ページ)
うどんの本場「香川県」から大手外食チェーン店が生まれていないが、ラーメン業界はどうなのか。香川大学大学院の高木准教授に話を聞いたところ、意外な事実が。それは……。
うどんチェーン店の未来
土肥: ここでラーメンからうどんの話を中心に聞かせてください。うどん業界って、今後どのようになると思われますか?
高木: 大手チェーン店の最大の功績は「讃岐うどんを広めてくれたこと」だと思っています。丸亀製麺やはなまるが先頭を切って、讃岐うどん市場を開拓してくれたことで、本格的なうどん店を増やせる土壌ができたのではないでしょうか。
土肥: それはどういう意味ですか?
高木: 例えば、関東の場合、チェーン店ができるまで、多くの人はうどんを食べる習慣がありませんでした。でも、会社や家の近くにチェーン店ができたことで、讃岐うどんを食べるきっかけができました。そして、実際に食べてみて「あ、おいしんだ」と気づかれたのではないでしょうか。
そうした層を対象に、今後はこれまでにないうどんを提供すると、ヒットするかもしれません。競合のない市場に出ていくのは簡単と思われるかもしれませんが、実は自ら市場を開拓しなければいけないのでリスクが高い。先ほどもご説明したとおり、ラーメンと違ってうどんには種類が多くありません。なぜラーメンにバリエーションがあるかというと、既成概念がなかったからだと思うんですよ。
土肥: 既成概念?
高木: ラーメンが日本にやってきたのは、明治時代になってから。当時の日本人にはあまり馴染みのない中華料理をベースにラーメンが生まれたので、既成概念がないんですよね。
土肥: 「ラーメンはこうでなければいけない」という考えのことですか?
高木: はい。ラーメンが生まれてから、その後各地でさまざまな種類のラーメンが誕生しました。出張に行ったときに、ご当地ラーメンを食べることを楽しみにしているビジネスパーソンも多いのではないでしょうか。しかし、うどんにはバリエーションが乏しいので、出張先や旅先で「ご当地うどんを食べよう」という人は少ないですよね。でも、うどんチェーン店がうどんの味を広めてくれたおかげで、今後はさまざまな味が増えてくるかもしれません。
土肥: うーん……でも、とはいえ、うどんですからねえ(既成概念の塊)。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
なぜ、“うどん県”からチェーン店が出てこないのか
「丸亀製麺」「はなまるうどん」「つるまる」――。讃岐うどんを扱っているチェーン店を調べてみると、ある共通点があった。それは、どれも本社がうどんの本場・香川県でないこと。その理由について、香川大学大学院の高木知巳准教授に聞いた。
王者「ガリガリ君」を倒したのは? ロッテアイスの戦略が面白い
アイスクリーム市場が活気に沸いているが、どの商品が売れているのだろうか。業界などが発表している売れ筋ランキングではなくて、消費者のレシートを分析したところ、意外な結果が! それは……。
なぜミニストップのソフトクリームは真似されないのか
某コンビニのPB商品がヒットすれば、競合他社が同じような商品を販売する――。コンビニは“真似の歴史”を刻んで、拡大してきたわけだが、真似されないモノもある。そのひとつが、ミニストップのソフトクリーム。その理由は……。
ローソンのコーヒーは誰が飲んでいる? データから見えてきたコト
「コーヒーはコンビニで買う」という人が増えてきているが、一体どんな人が購入しているのだろうか。ローソンのPontaカードを分析すれば「どういった人が何を買ったのか」が分かるので、担当者に直撃。男性20〜40代がよく飲んでいるのは……。
