部下が「僕にはバリューがない」と焦っていたら、上司はどう対処すべき?:サカタカツミ「新しい会社のオキテ」(1/3 ページ)
「若いんだから、仕事ができないのは当たり前」と周囲が若手を扱っていたのは昔の話。最近の若手は「自分はバリューを出しているでしょうか」と焦り、悩んでいることが多いそう。もし自分の部下がそう悩んでいたら、上司であるあなたがすべきこととは。
著者プロフィール:サカタカツミ
クリエイティブディレクター。就活や転職関連のサービスをプロデュースしたり、このような連載をしていたりする関係で、そちら方面のプロフェッショナルと思われがちだが、実は事業そのものやサービス、マーケティング、コミュニケーションの仕組みなどを開発するのが本来の仕事。
直近でプロデュースしたサイトは「CodeIQ」や「MakersHub」。著書に『こんなことは誰でも知っている! 会社のオキテ』、『就職のオキテ』。この連載についても、個人的に書いているブログでサブノート的なエントリーを書く予定。Twitterアカウントは@KatsumiSakata。
先日、ある場所で「スキルの可視化」について議論していたときのこと。とても興味深い発言をきっかけに、本筋から外れて盛り上がってしまいました。最近の若手社会人の中には、「自分には、市場価値があるのでしょうか。会社から求められているバリューを出せているのでしょうか?」と悩んでいる人が少なくないというのです。
実は、私の周りにも似たような人がたくさんいて、しばらく前から気になっていました。かつて若手と呼ばれる世代は、元気があって体力も有り余っていて、でも、ビジネスパーソンとしては右も左も分からないので、ひたすら全力で走っているだけで価値がある、といわれていました。
しかし、いつの間にか「今年の新人は使えない」というお決まりのフレーズに代表されるように、「仕事ができない若手はダメ」ということになってしまいました。さらに言うと、ミスなくソツなくでも物足りない、組織に求められること以上ができなくてはならない。そんな周囲の期待(?)を感じて、「バリュー出さなきゃ」と焦っていると言うのです。あなたの周りにも居そうな、そんな部下にどう対処すれば良いのか。今日はそんなお話です。
焦っている部下の多くは、同期や同僚を見ていない?!
まだ何かを成し遂げる能力を持っていないのに、何かをやらなくてはと焦っている部下に掛けがちな言葉に「焦るな。まだお前には能力が足りないのだから。少し上の先輩であっても、まだまだ学びの時期。彼らに追いついていないことをもっと自覚して。今は我慢だ」という、お約束のものがあります。
ただ、この台詞は焦っている部下には届いていません。なぜなら、彼らの視野には同期や同僚は入っていないから。彼らが見ているのは、例えば、同年代で活躍しているビジネスパーソンです。ネットのニュースで頻繁に取り上げられているのを見ると、焦りは募る。さらに、SNSなどで動向が分かる友人もそうです。新しいサービスをローンチした、次のステージに取り組んでいる、など、どこまでが事実なのかは分からないけれど、大活躍しているように見える。そういう情報しか、彼らの目には映っていないのです。
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