ICTの新たな潮流か──企業や行政機関が「フューチャーセンター」を推進、なぜ?:松岡功の時事日想(1/3 ページ)
企業や行政機関で「フューチャーセンター」と呼ぶ施設を設ける動きが活発化している。取り組むのは「オープンイノベーション」だ。この2つの言葉はこれから注目のキーワード。国内最大級のフューチャーセンターを運営する富士通エフサスの今井社長にその狙いを聞いた。
著者プロフィール:松岡功(まつおか・いさお)
ITジャーナリストとしてビジネス誌やメディアサイトなどに執筆中。1957年生まれ、大阪府出身。電波新聞社、日刊工業新聞社、コンピュータ・ニュース社(現BCN)などを経てフリーに。2003年10月より3年間、『月刊アイティセレクト』(アイティメディア発行)編集長を務める。(有)松岡編集企画 代表。
主な著書は『サン・マイクロシステムズの戦略』(日刊工業新聞社、共著)、『新企業集団・NECグループ』(日本実業出版社)、『NTTドコモ リアルタイム・マネジメントへの挑戦』(日刊工業新聞社、共著)など。ITmedia エンタープライズでも「Weekly Memo」を連載中。
「君たちは、ICTを活用して、“2024年に”どんなことがしたいか?」
「日本の高齢者と海外の若者をSNSで結び、日本の高齢者が海外の若者に日本語や日本の文化を教える機会を作りたい。そうすれば、海外の若者は日本のことを勉強でき、日本の高齢者は教えることが生き甲斐になるのではないか」
このやりとりは、筆者が富士通エフサスの「みなとみらいイノベーション&フューチャーセンター」(神奈川県横浜市)を訪れ、目の当たりにしたワークショップのひとコマである。
このワークショップは、同社がインターンシップの学生を対象に、ICT業界のことを知ってもらおうと5日間にわたって開いたもの。筆者が目にしたのは最終日のグループディスカッションだった。
興味深かったのは、ICT(Information and Communication Technology:情報通信技術)がテーマではあるものの、学生が「10年後に描いた未来」には、高齢化やグローバル化が進んだ日本の課題への対策が映し出されていたことだ。しばらく立ち止まって見入ってしまった。
印象深い光景だったので最初に紹介したが、今回読者にぜひ伝えたいのは、上記のようなワークショップも開かれる「フューチャーセンター」という施設と、そこでの「オープンイノベーション」という取り組みである。
今回は、富士通グループのICTサービス会社である富士通エフサスが運営するフューチャーセンターを訪れ、同社社長の今井幸隆氏に2時間に及ぶインタビューを行った。今井氏の説明をもとに本題に入ろう。
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