ICTの新たな潮流か──企業や行政機関が「フューチャーセンター」を推進、なぜ?:松岡功の時事日想(2/3 ページ)
企業や行政機関で「フューチャーセンター」と呼ぶ施設を設ける動きが活発化している。取り組むのは「オープンイノベーション」だ。この2つの言葉はこれから注目のキーワード。国内最大級のフューチャーセンターを運営する富士通エフサスの今井社長にその狙いを聞いた。
「国内最大級のフューチャーセンター」は、こんな施設
フューチャーセンターとは、企業や行政機関、大学などが中長期的な課題の解決や新たなアイデアの創出を目指し、さまざまな関係者を幅広く集め、対話を通じて豊かな未来を“共創”していくための場と位置付けた施設である。
発端は、1996年にスウェーデンの保険会社がコンセプトを立案して開設したこと。その後、北欧を中心に広がり、今(2014年現在)では全世界でおよそ100カ所まで広がった。国際的なコミュニティ「Future Center Alliance」も存在し、コラボレーションの推進をはじめ、コンセプトや成功事例の共有に取り組んでいる。
日本でも2000年代後半から開設するところが出てきた。日本におけるコミュニティであるフューチャーセンター研究会によると、国内では2014年現在、以下の図のような分布になっているという。専用の施設があるところは十数カ所のようだ。
そのフューチャーセンターでの取り組みの手法である「オープンイノベーション」とは、組織の枠組みを越えて企業の内外から幅広くアイデアや知識・技術を結集し、新たな価値の創造に取り組むことである。オープンイノベーションは数年前から注目されてきた考え方だが、フューチャーセンターの広がりで改めて“共創”を実現する手段として脚光を浴びつつある。
今回、筆者が話を聞いた富士通エフサスのフューチャーセンターは2013年6月に開設した。開設間もないが、それだけに約3800平方メートルと国内最大級の床面積を要し、さまざまな最新の設備を用意した。
メイン施設となる「Camping studio」は、スライディングウォール(移動式の壁)によって自在にレイアウトできる空間とステージを備え、大規模セミナーやワークショップなどの多彩なイベントに対応する。併設するキッチンカウンターを利用したパーティーなども開ける。
また、古代ギリシャ語で「場」を意味するTOPOSを名に持つ「Studio “TOPOS”」では、4室のブレイクアウトルームを利用した集中討議やステージを利用した多彩な活動が可能だ。「ふれ」(触れる、フレンドリー)、「けん」(研修、体験、実験)を組み合わせた名を持つスペース「Fureken Lab」には、富士通の各種ICT機器を備え、保守教育とともにCamping studioと連結して実機を使ったプロトタイピングなども行える。
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