『朝日新聞』をマトモにする、ただ1つの方法:窪田順生の時事日想(3/3 ページ)
誤報や情報操作、言論封殺を行おうとした『朝日新聞』。行き過ぎた制裁は避けるべきだが、相応の“罰”は必要だ。われわれにできることは少ないが、『朝日新聞』をマトモな報道機関へと生まれ変わらせる方法が1つだけある。
『朝日新聞』をマトモにするには「カネを奪う」しかない
高級官僚、特に若いキャリアに会ってみると分かるが、彼らは「日本をよくしよう」という志に燃えた真面目な人が多い。国民の目線に立てるし、物分かりがよく、霞ヶ関批判なんかもする。しかし、年を重ねてキャリアを積むと人がコロッと変わったように、隠蔽も不正もバリバリ行う。もちろん個人の資質もあるが、自己保身と組織防衛がなによりも優先される減点主義社会にどっぷり浸かってきたことと無関係ではない。
「朝日」の記者も同じで、入社した時はどちらかといえば真面目な優等生タイプが多い。単なる堅物というわけでもなく、もちろん志もあって「調査報道で権力の不正を暴いてやる」と意気込む立派な人も少なくない。それが、どういうわけか取材現場を離れ、“朝日新聞省”の幹部官僚になるにつれて、おかしな言動に走るようになる。
その象徴が、朝日批判をした池上彰さんの原稿を掲載拒否したことに対し、しれっと「社員の安全が脅かされており、過剰に反応した」などと言い放った報道局長さんだろう(参照リンク)。彼には「日本を貶めよう」なんて大それた野心はない。組織防衛とほんのちょっとの自己保身によって、よかれと思って“言論封殺”に走ったのである。官僚や新聞記者も個々は真面目で、日本を悪くしようとか、貶めようなどとは思っていない。むしろ正しいことをしているつもりなのに、真逆の結果を招いている。だから罪悪感がないのだ。
こういう人たちに我が身を省みさせて、組織の見直しをさせるにはどうすればいいか。それは、自己保身の源泉であるカネを奪うことだ。
カネという蛇口を絞めれば、生きていくために自ら無駄を省かざるを得ない。自己批判をして改革しなければいけないところまで追い詰める。官僚の場合はそれが「減税」だということで、河村たかし名古屋市長は、官僚と新聞がタッグを組んで増税キャンペーンを繰り広げる中で「減税だがや」と訴え続けているのだ。
『朝日新聞』の場合、この「税金」にあたるのは740万部という身の丈に合わぬ発行部数だ。このカネがある限り「朝日」がどんな改革策を掲げても本質は何も変わらない。逆に、もし発行部数が適正なサイズまで縮小されれば、組織防衛や自己保身という官僚主義が一掃され、まともなジャーナリストだけが残る報道機関へ生まれ変わる、かもしれない。
まず、「朝日」の愛読者の方は心を鬼にして解約をしていただく。「朝日」が憎くて仕方がない方たちもバッシングを我慢していただき、パッシング(無視)に切り替える。
もちろん高級官僚らしく、「新聞の力が弱まると権力の監視ができない」などともっともらしい世論誘導を仕掛けてくるかもしれないが、ここで折れてはいけない。霞ヶ関に自浄作用が働かないように、“朝日新聞省”も外圧でしか変わることができないからだ。
「朝日」をマトモにするために「朝日」を読まない――。それこそがわれわれができる唯一の方法ではないか。
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