“イケてない企業”が陥りがちな、2つのワナ:世界で売れてる、日本発のヒット商品(4/5 ページ)
日本製テレビのリモコンにはたくさんのボタンが付いている。消費者からは「こんな機能、いらないのでは?」「一度も触ったことがないボタンがある」といった不満の声が聞こえてきそうだが、なぜリモコンは複雑になってしまったのだろうか。
三波春夫さんの真意
永井: 演歌歌手・三波春夫さんの「お客さまは神様です」というフレーズを聞いたことがありますよね。日本企業の多くは、三波さんの真意とは違う意味にとらえているんですよ。
土肥: どういうことでしょうか?
永井: こんなことを言う上司も多いのではないでしょうか。「いいか? お客さまは神様だ。お客さまには絶対に『NO』と言うな。すべて言われたとおりにすればいいんだ」と。「お客さまは神様です」という言葉をそのまま受け止めると、こうなってしまいます。でも、違うんですよ。三波さんが言いたかったことは「お客さまは『神様』なので、その神様に最高の歌を届けなければいけません」という考え方なんです 。
三波さんの「お客さまは神様です」という言葉の意味を履き違えて受け止めているので、多くの日本企業は誤った方向に進んでいるのではないでしょうか。
あるテレビ番組で放映していたのですが、日本のとある家電メーカーの研究所は、炊飯器に新機能追加を検討していました。どういった機能なのかというと、人がその炊飯器の前に立つと、フタがパカッと開くんですよ。この機能があれば確かに便利かもしれませんが、お客さんが「どうしても欲しい」と思う機能でしょうか? 違いますよね。なぜこうした機能を考えてしまうかというと、背景に「水道哲学」と「お客さまは神様です」の発想があるからではないでしょうか。
土肥: 「お客さまは神様です」と言ったことをそのまま受け止めず、「お客さまに最高のモノを届ける」という発想で商品を開発した企業もありますよね。
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