「ゲームはバカになる」はウソ?:脳を強くする56の習慣(1/2 ページ)
かつて、「ゲームをするとバカになる」といわれた時期がありました。しかし、最近の研究結果によると、中年やそれ以上の年齢の人が脳を鍛えるには、PCを使ったりゲームをするのが効果的のようです。
集中連載「脳を強くする56の習慣」について
本連載は、米山公啓著、書籍『脳を強くする56の習慣』(中経出版)から一部抜粋、編集しています。
最近、うっかり用事を忘れることが増えた、発想がどうもマンネリだ――あなたにも心当たりはありませんか?
「自分はまだまだ大丈夫」と思っていても、家族や周りの人が認知症や脳梗塞になった途端、他人事ではすまなくなります。
では、「強い脳」とは何でしょうか? 記憶力や集中力が高く、さらには豊かな創造性を発揮する脳のことをいいます。まずは動脈硬化にならない、健康であることが「強い脳」への第一歩です。
本書では医学博士の米山公啓氏が、最新の知見をもとに脳を「強くする」習慣を紹介します。
「1日3杯のコーヒー習慣」「新作映画を映画館で観る」などの、強い脳をつくる、日常生活でちょっとひと工夫すれば実践できるものばかりです。さあ、あなたも今日から始めてみませんか。
「ゲームはバカになる」はウソ?
「PCを使うと脳がダメになる」とか、「ゲームをするとバカになる」などといわれていた時期がありましたが、最近ではその逆の研究報告が増えてきました。
脳を鍛えるためには、むしろ積極的にPCを使っていくほうがよさそうです。カリフォルニア大学ロサンゼルス校の研究によれば、中年やそれ以上の年齢の人にとって、インターネットを使うことは、脳の機能向上につながることが分かりました。
インターネットを使って検索すると、意思決定と複雑な推論をするので、脳を刺激することになるというのです。
例えば、欲しいものを検索するときのことを想像してください。白いテーブルで、シンプルなデザインのものが欲しいと思って検索するとき、いくつかのキーワードを考え、検索で出てきた画像を見ながら、さらに検索を絞り込んでいきます。
そんな脳の使い方が脳を刺激するのです。以前はコンピュータを使うと脳を刺激しなくなるという考えが少なくありませんでしたが、いくらコンピュータといってもすべて自動でやってくれるわけではなく、検索には常に判断が必要となるので、その行為が脳を刺激するというわけです。
カーレース・ゲームを1カ月間に12時間行った60〜85歳の高齢者は、未経験の20代若年層よりも高い点数を出せるようになったという実験結果があります。つまり年齢に関係なく、決まった時間、ゲームの訓練をすれば、脳は変化して機能がアップするということです。
さらに重要なことは、こういったゲームをすることで、ワーキングメモリー(作業記憶)と持続的注意力が向上するということです。
もちろん、ゲームはなんでもいいというわけではありません。マルチタスクといって、同時にいろいろなことをしていくゲームが重要なのです。
いずれにしても、テレビゲームが脳にはよくないというわけではなく、きちんと作られたゲームによっては脳を鍛えることができるのです。
関連記事
- 新しい環境から刺激を受ける
「脳を強くする」という意味は単に記憶力がよくなるとか、物忘れをしにくくなるというだけではありません。創造性豊かな脳を作っていくことでもあります。年齢に関係なく脳の若さを保て、結果として認知症にもなりにくくなるのです。 - 運動すると記憶力が20%アップする
脳を元気にするには、脳神経細胞同士のつながりを増やすことが大切です。適度な運動は脳を刺激して、記憶力をアップさせます。 - 茂木健一郎が語る、脳と貯蓄の関係
なぜ人はお金を貯めようとするのだろうか? 「それは楽観主義という脳の働きによる行動であり、決して悪いことではない」と脳科学者の茂木健一郎氏は話す。貯蓄行動の根底にある脳のメカニズムとは? - なぜチョコレートを食べると、仕事の効率が上がるのか
仕事をしていて「ペースが落ちてきたなあ」と感じたことがある人も多いだろう。夜は予定が入っているので、残業はしたくない……。効率よく仕事を進めるためにはどのようにすればいいのだろうか。 - 東大生のボクが、あの会社に注目した理由
株式投資の運用成績と偏差値に関係性はあるのだろうか。もし「関係がある」とすれば、偏差値トップの東大生はどういった考えで投資をしているのだろうか。そこで現役東大生の“投資脳”に迫った。 - 右脳と左脳……脳のタイプによって年収は違う?
上司にしたい脳のタイプは? ライフネット生命保険の調査によると、「左脳タイプ」と答えている人が多いことが明らかになった。しかし部下にしたい脳のタイプを聞いてみると、違った結果に。 - 子どもの学力向上に役立つ朝食は?
脳がエネルギー源にできるのはブドウ糖だけ。学力向上を目指す場合、朝食には、ブドウ糖を効率的に摂取できる麦芽エキスが多く含まれている食品が効果的だという。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.