缶コーヒー市場に“2つの潮流”――ダイドードリンコの高松社長に聞く:仕事をしたら“缶コーヒー”ができた(5/6 ページ)
コンビニのカウンターコーヒーがヒットして、缶コーヒーが苦戦している。そんな中、缶コーヒー市場にちょっとした異変が起きている。それは……。
プレミアム市場の動きについて
高松: 2つあって、1つは「味」ですね。「本格的なエスプレッソ」というコンセプトはいいのですが、本格的すぎると一部の人にしかウケないかもしれません。一方、多くの人にウケるような商品になると、本格的な味が失われるかもしれません。なので、どこにターゲットを置くか。ターゲットの幅をどのくらいにするか。これを決めることによって、味が変わってくるので、ターゲットと味のバランスをとることが難しかったですね。
もう1つは、「泡立ち」ですね。この商品の最大の特徴は、音が静まるまで缶を振ると、淹れたてのような泡立ちを楽しめることができること。この泡立ちをどのようしたら上手につくることができるのか。このことに苦労しました。開発担当者だけでなく、さまざまな関係者のアイデアによって、泡が立ちやすい容器を完成させることができました。
また、缶コーヒーに対して「マンネリ化している」「どれも変わらない」といった印象を持たれている人も多いのではないでしょうか。従来のような缶コーヒーでは、その魅力を伝えることが難しいので「振って泡立てる」という商品にしました。
土肥: 缶コーヒーに高価格・高付加価値の商品が増えてきていますが、このプレミアム市場の動きについてどのように見られていますか?
高松: 2012年に「ダイドーブレンド」というブランドを立ち上げて、より本格的な味を追求していく方針を打ち出しました。その昔、缶コーヒーといえば「CMのイメージだけで決まる」などと言われていました。弊社としては“おもしろくないこと”だったわけですが、そうしたときでもコーヒー豆にこだわり、味の良さを打ち出すことで、市場の活性化を図ってきました。
そして、コンビニのカウンターコーヒーがヒットしたことで、ようやく“潮目”が変わってきたかなあと。競合他社はプレミアム商品を投入してきていますし、消費者の本物志向の動きがうかがえます。いま、缶コーヒーメーカーに求められているのは、カウンターコーヒーよりもおいしい商品を提供することではないでしょうか。
関連記事
- コンビニコーヒーの味に違いはあるの? 科学的に分析した
外出先で「ちょっとコーヒーを」と思って、カフェチェーンに立ち寄る人も多いのでは。ファストフードやコンビニでも気軽にコーヒーを飲むことができるようになったが、その味に違いはあるのか。味を分析できる機械を使って調べたところ、意外な事実が……。 - ローソンのコーヒーは誰が飲んでいる? データから見えてきたコト
「コーヒーはコンビニで買う」という人が増えてきているが、一体どんな人が購入しているのだろうか。ローソンのPontaカードを分析すれば「どういった人が何を買ったのか」が分かるので、担当者に直撃。男性20〜40代がよく飲んでいるのは……。 - 自販機の一等地は「左上」? 人の視線を追いかけたら“常識”が覆った
自販機で缶コーヒーを買う――。日常的な行動なので、意識していない人が多いと思うが、実は自販機には隠れたノウハウがある。マシンの前に立ったとき「人は『左上』に注目する」と言われてきたが、ダイドードリンコがアイトラッキングを使って分析したところ……。 - なぜミニストップのソフトクリームは真似されないのか
某コンビニのPB商品がヒットすれば、競合他社が同じような商品を販売する――。コンビニは“真似の歴史”を刻んで、拡大してきたわけだが、真似されないモノもある。そのひとつが、ミニストップのソフトクリーム。その理由は……。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.