「誰でも自在に操れる」――新型スポーツカー「RC F」に込められたレクサスの伝統:開発者インタビュー(2/5 ページ)
レクサスブランドとして実に4年ぶりとなるスポーツクーペタイプを発売したトヨタ自動車。その中でもフラッグシップモデルに位置付けられる「RC F」の開発責任者に、ジャーナリストの神尾寿氏がその魅力を聞いた。
MTとATのいいとこどり
――スポーツカーというと、マニュアルトランスミッション(MT)が当たり前と思っている人も少なくないでしょうが、RC Fはオートマチックトランスミッション(AT)の2ペダルです。MTに慣れていない若い世代や、奥さまはAT限定免許しか持っていないというファミリーでも所有できる。そうした意味では、スポーツカーではあるけれどもハードルは低いですね。
欧州などでは交通渋滞が増えてきているので、低速ドライブが求められているという事情を無視することはできません。従来からトヨタでは2ペダルでもスポーツ性能の高いATを開発してきました。例えば、AT車のIS Fはニュルンベルクの耐久レースでクラスチャンピオンを獲得するなど、その実力も証明されています。加えて、本来は燃費改善のために搭載されているロックアップクラッチをマニュアルシフトに使うことで、まさにMTとATのいいとこどりのスポーツカーに仕上がっているのです。
――日常生活でもサーキットレースでも楽しめるスポーツカーというわけですね。スキル面でもこれまでは運転テクニックがないと乗れないというスポーツカーのイメージを払しょくしていく。クルマのマーケット自体の間口が狭くなってきているので、そうした考え方は大事ですよね。
そうですね。“クルマ離れ”などと言われますが、若い人たちも含めてRC Fに乗ってもらい、その楽しさを体感してもらうためには、本当に運転スキルが高い人しか運転できないクルマでは駄目なのです。レクサスのFブランドは一般の女性でも簡単に乗りこなせるような設計になっているのです。
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