「誰でも自在に操れる」――新型スポーツカー「RC F」に込められたレクサスの伝統:開発者インタビュー(3/5 ページ)
レクサスブランドとして実に4年ぶりとなるスポーツクーペタイプを発売したトヨタ自動車。その中でもフラッグシップモデルに位置付けられる「RC F」の開発責任者に、ジャーナリストの神尾寿氏がその魅力を聞いた。
さまざまなモジュールの組み合わせ
――若い女性でもさっそうと乗りこなせるスポーツカーというのは、とてもかっこいいですね。一方で、クーペは市場がそれほど大きくなく、難しいクルマだと思います。RC FあるいはRCのプラットフォームはどのような形で作られたのでしょうか。
クーペ専用に組み立てたプラットフォームを使いましたが、まったく新規ですべてを作ったわけではありません。フロントセクションは新型「GS」、センターセクションはISのコンバーチブル(※オープンカー)、リアセクションは新型のISのコンポーネントを利用し、リアのサスペンション自体はGSのものを装着しています。レクサスはモジュール化が進んでいるので、それらをうまく組み合わせて新しいクーペ専用のプラットフォームを構築したのです。
――モジュールを使ってプラットフォームを作る上で、特に重視した点、こだわった点はありますか。
大きなタイヤを正しい場所にきちっと配置することが最も重要です。そのためにGSのサスペンションを使っています。それから、ISのセンターセクションを活用する理由は、コンバーチブル用に作っているモデルなのでボディ剛性が高いのです。新型ISを100としたときに、RCで130%、RC Fでは150%のボディ剛性があります。結局、クルマの素地がしっかりしていなければ、いくら高性能な電子制御技術を搭載しても付け焼き刃になると考えています。素の状態でしっかり走れるように仕立てておいて、さらにその品質を補うために電子制御を入れるのが順番だと思います。
――次にデザイン面についてお伺いします。最近のレクサスはスピンドルグリルを採用してからかなり個性的な、自己主張のはっきりしたクルマになってきました。今回RC、RC Fという新たなモデルを作るに当たり、デザイン上でこだわった点、注目すべき部分はどこですか。
一番こだわった部分はリアフェンダー回りです。今までの日本車にはないような張り出しで、輸入車でもあれだけのものは珍しいでしょう。車体をぐるっと一周すると表情がいろいろと変化するのがお分かりいただけると思います。生産技術の限界に挑戦した立体的なデザインに仕上がりました。RCが「セクシー&ダイナミック」と言われていますが、RC Fではもう少し美しさのあるエレガントさを狙っています。走行しなくても眺めていて飽きません。
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