それでも「メジャー」に挑戦する――阪神・鳥谷の人間性:新連載・赤坂8丁目発 スポーツ246(2/4 ページ)
阪神タイガースの鳥谷敬内野手が今オフにFA権を行使して、大リーグに挑戦する意向を示した。“虎の生え抜き”としてチームの屋台骨を支え続けてきたが、打者として個人タイトルは手にしてない。そんな彼が、なぜ海を渡ろうとしているのか。
鳥谷の「地味力」
鳥谷は控えめな性格でありながらも、いざグラウンドに出て試合になるとスイッチが入り、すさまじいまでの闘争心をむき出しにして相手に挑んでいく――。実を言えば、これもまたタテジマの背番号1の真骨頂なのである。多くの阪神関係者は、彼には「地味力がある」というが、一体どんな人間なのか。
「鳥谷と接していて時々“ジキルとハイド”なんじゃないかと思うこともある。彼は本当にプロフェッショナルなプレーヤーですよ。普段から物静かで、人とワーワーと騒ぐようなことはまず絶対にやらない。その代わり、野球の話になると冷静な口調でありながら自分の意見をズバッと言う。
練習でも、とにかく一切の妥協を許さない。数年前のオフに彼が筋トレを5時間ぐらいぶっ続けでやっていたことがあって『そんなに続けたら死ぬぞ!』と言ったら『何言ってるんですか! 筋トレしなかったら逆に死んでしまいますよ!』と逆ギレされたことがあった(笑)。自分が一度決めたらテコでも動かない。彼はそういう強い意志の持ち主なんだと思いますね」と語るのは、現役時代に鳥谷とチームメートだった阪神OBの証言である。
とにかく「クソ」が付くぐらいに根がマジメ。たとえ好機で狙い通りに打てたとしても、あるいは起死回生の一打を放ったとしても、さらに試合で勝っても表情をほとんど変えないのは、それを象徴する好例だ。本人曰く「高校時代に投手をやっていた時、ホームランを打たれた相手打者にガッツポーズされたのがとてもイヤだった。だからなるべく感情は見せないようにしているんです」というのがポーカーフェースを貫く理由。
これまで選手会長、野手キャプテンを歴任し、2013年から今季までチームキャプテンにも任命され、とても厚い人望の持ち主であることが彼の実直な姿からもよく理解できる。自らの言動でチームをけん引するというより、コツコツと結果を残して背中で存在感を見せるタイプなのだろう。
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