「頭から氷水」の次に来る “MOVEMBER”チャリティって何だ:人に話したくなるコラム(1/4 ページ)
今、海外で大きなブームが起きているチャリティ・チャレンジをご存じだろうか。それは「アイスバスケットチャレンジ」でも、「ピンクリボン運動」でもない。日本にはまだ上陸していないチャリティ「MOVEMBER(モーベンバー)」とは……。
著者プロフィール:
藤井薫(ふじい・かおる)
大学を卒業後、広告代理店や出版社を経てライターに。
『POPEYE』『an・an』(マガジンハウス)や『GLAMOROUS(グラマラス)』(講談社)などで、ファッション、ビューティ、ビジネスなど幅広い記事をカバー。日本と海外を頻繁に行き来して、海外トレンドを中心に情報発信している。
そんな思いをベースに、世界の企業動向や経営哲学をはじめ、それをとりまくカルチャーやトレンドなどを中心にして、思わず誰かに言いたくなるようなネタを提供していくコラムです。
難病であるALS(筋委縮性側策硬化症)の支援活動を目的とした「アイスバスケットチャレンジ」が日本でも話題になったのは記憶に新しい。それ以外でも、毎年10月に行われる乳がんの啓蒙活動を目的とした「ピンクリボン運動」など、世界発で日本にも浸透しつつあるチャリティ・キャンペーンは少なくない。
もちろんチャリティ活動に何ら異論はないのだが、こうしたキャンペーンを、どことなくしっくりこないと感じる人も多いのではないだろうか? というのも、本来の主旨から外れて、有名人のPR大会になっているようなケースもみられたからだ。
だが男性に身近で、ユニークなチャリティ・チャレンジが、今、海外で大きなムーブメントになっている。日本ではまだあまり知られていない、メンズヘルスの向上に特化したオーストラリア発のチャリティ活動、「MOVEMBER(モーベンバー)」だ。
この「MOVEMBER」は、オーストラリアのスラングで「ひげ」を意味する「MO(モー)」と「NOVEMBER(11月)」をかけた、ファンドレイジング・イベント(非営利団体が活動資金を、活動や志に賛同する人たちからの寄付などで調達すること)として毎年11月に開催されている。目的は、男性特有の前立腺がんや睾丸がん(精巣がん)とメンタルヘルスの問題を支援することだ。このチャリティへの参加方法はいたってシンプル。11月の1カ月間、参加者は一切ひげを剃らないというチャリティ・チャレンジを行うのだ。
2003年に、たった30人のオーストラリア人が始めたこの活動だが、現在では世界21カ国に広がり400万人が参加するまでになった。さらに、累計で約5.8億豪ドル(約590億円、1豪ドル:101円)もの寄付金を集めるほど大規模なイベントになっているのだ。
現在、チャリティの世界では、世界的に競争が激化している。寄付を活動資金にする団体は年々増加しており、まさに戦国時代の様相を呈している。そんな状況の中で認知度を高めて寄付金を集めるのには、企業並みの巧みな戦略が必要となってきている。わずか、10年ほどで驚異的な拡大を遂げた「MOVEMBER」のサクセスストーリーには、ビジネスパーソンにとっても注目すべきヒントがあるかもしれない。
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