「頭から氷水」の次に来る “MOVEMBER”チャリティって何だ:人に話したくなるコラム(3/4 ページ)
今、海外で大きなブームが起きているチャリティ・チャレンジをご存じだろうか。それは「アイスバスケットチャレンジ」でも、「ピンクリボン運動」でもない。日本にはまだ上陸していないチャリティ「MOVEMBER(モーベンバー)」とは……。
ネットでも話題にしやすい
だが何よりも特筆すべきは、このチャリティ・チャレンジがソーシャルメディアにぴったりの題材だということ。イベントに参加するには、事前にサインアップをする。ルールは簡単で、11月1日にひげを剃りクリーンな状態にしてから、あとは30日間、ひたすらひげを伸ばすだけだ。イベントに参加している男性は「Mo Bros(モー・ブラザーズ)」と呼ばれ、そこに奇妙な連帯感が生まれるのだ。そして、FacebookやTwitter、YouTubeやInstagramなどを通じて世界中のモー・ブラザーズとイベントを共有することができる。誰でも参加でき、みんなの問題だから、ネットでも話題にしやすく、どんどん拡散していくのだ。
例えば、ネット上ではこんな声が飛び交っている。キャンペーンチームの1人は、「全世界で年間51万人の男性が自殺しているらしい。それって、毎分1人という計算になる。これはよくない。みんなで変えようぜ」とアップし、参加者たちは「MOVEMBERでひげを伸ばすのは、もはやチームスポーツだ!」とか、「いま、検診に行ってきたよ」という報告や、「米国人の7人に1人が、一生のうちに前立腺がんと診断されるらしい。MOVEMBERに参加してサポートしようぜ!」などと盛り上げている。
さらに、毎年違ったクリエイティブを導入して、Webサイトやモバイルなどのビジュアルを一新しているのも、うまい戦略だと言える。デザインはクールだし、毎回参加しても飽きないようなイケたキャンペーンになっている。
ひげを伸ばすというシンプルなチャリティ・チャレンジで、ここまで盛り上がれるのも見ていて清々しい。そして世界中で、ひげ面でむさ苦しいモー・ブラザーズたちが写真をネットにアップしたり、メンズヘルスについて考えをシェアしている。なによりも、参加者が楽しんでいるのが印象的だ。
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