ヨーグルトや牛乳は足りているのに、なぜバターだけが不足しているのか:追加輸入(1/3 ページ)
今、店頭からバターが消えているのをご存じだろうか。政府は9月下旬、バターと脱脂粉乳を追加輸入すると発表した。バターや脱脂粉乳は生乳から作られるが、牛乳は普通に売られているし、同じく生乳から抽出されるヨーグルトやアイスクリームが足りないという話も聞かない。バターと脱脂粉乳だけが不足し、輸入する事態になってしまった理由は……。
農林水産省は9月下旬、お菓子やパン製造に使われる脱脂粉乳、バターやケーキの製造に使われる生乳が不足することから、安定供給を図るためにバター3000トン、脱脂粉乳1万トン 計1.3万トンの追加輸入を決定した(参照リンク)。
そもそも、脱脂粉乳とバターはどう作られているのか?
実は、脱脂粉乳とバターは、同じ生乳から作られている。詳しく言うと、製造工程の違いにより同じ生乳から脱脂粉乳、バター、チーズ、ヨーグルト、牛乳、アイスクリームなどが抽出されているのである。
減少する生乳生産量
農林水産省で公開されている生乳生産量の数値から、筆者が作成したグラフが以下である。
1993年からの2014年の11年間の統計を見ると、1993年では9000トン近くあるのに、ここ数年は約7000トンを推移しており減少具合がよく分かる。
農業共同組合新聞でも、牛乳の生産量は、前年度をやや下回る程度で推移している。「乳飲料」は比較的堅調、「はっ酵乳」は好調に推移することが、予想される。牛乳類の上期生産量は、前年比99.1%の250万8000キロリットル(2508トン ※1000キロリットル=1トン)の見通しとなる。
脱脂粉乳、バターなどに使われる特定乳製品の上期生産量は前年度を大きく下回る。バターは前年比89.6%の3万トンと大きく減少すると予想される、とあるように脱脂粉乳、バターだけが不調と報道されている。
関連記事
- なぜ中国で“甘いマヨネーズ”が売れたのか キユーピーの地道な作戦
中国で“甘いマヨネーズ”が売れていることをご存じだろうか。キユーピーが中国で展開を始めたのは1993年。当時の家庭に「マヨネーズ」はなかったが、どのようにして普及していったのだろうか。同社の広報部に聞いた。 - 「給食に毎回牛乳」はアリ? ナシ?
「牛乳」といえば、給食の定番メニュー。「給食の牛乳」の廃止を検討している自治体もあるが、給食に毎回牛乳が出ることはアリなのだろうか、ナシなのだろうか。20〜60代の男女に聞いた。オウチーノ総研調べ。 - 「山崎製パン」が自社トラックを持っているのはなぜか
高速道路で立ち往生している人に、トラックの荷台に積んでいたパンを配った――。山崎製パンのドライバーが話題になりましたが、そもそも同社はなぜ自社トラックを所有しているのでしょうか。今回はその謎に迫ってみました。 - 喫茶室ルノアールにあって、スターバックスにないもの
東京に住んでいる人であれば、誰もが目にしたことがある喫茶室「ルノアール」。スタバなどの欧米スタイルのカフェに押され、「残念な喫茶店」になっているかと思いきや、業績はまずまず。決しておしゃれではない「ルノアール」は、なぜお客から支持されているのだろうか?
関連リンク
- 「農水省、『バター』と『脱脂粉乳』を緊急輸入――安定的な供給を確保」(マイナビニュース、2014年10月16日)
- バター及び脱脂粉乳の追加輸入について
- CBPってどうやってつくられるの? (CBP専門サイト、2014年10月17日)
- 「牛乳乳製品の生産動向(農林水産省、平成26年8月分)
- 「上期の生乳生産量 前年比2.4%減の見込み」(農業共同組合新聞、2014年10月17日)
- 「牛乳の過剰問題」(経済産業省研究所(2014年10月18日)
- 「牛乳乳製品の生産動向(農林水産省、平成26年8月分)
- 「第78回 牛乳・乳製品から食と健康を考える会」(日本乳牛協会、2014年10月17日)
- 「生乳減産が深刻化 乳製品の需給逼迫 脱粉国際価格も上昇」(日本農業新聞、2014年10月17日)
Copyright © Credo All rights reserved.