ヨーグルトや牛乳は足りているのに、なぜバターだけが不足しているのか:追加輸入(2/3 ページ)
今、店頭からバターが消えているのをご存じだろうか。政府は9月下旬、バターと脱脂粉乳を追加輸入すると発表した。バターや脱脂粉乳は生乳から作られるが、牛乳は普通に売られているし、同じく生乳から抽出されるヨーグルトやアイスクリームが足りないという話も聞かない。バターと脱脂粉乳だけが不足し、輸入する事態になってしまった理由は……。
なぜ脱脂粉乳、バターが不足するのか?
では、なぜ脱脂粉乳、バターが不足するのか。同じ生乳から抽出されるのは、脱脂粉乳、バター、アイスクリームなどがあるのに、なぜ、脱脂粉乳とバターだけが不足し、輸入する事態になってしまったのか。
その理由は、北海道依存という乳牛業界の構造にある。というのも、消費地との距離が遠い北海道では、運送しやすいようにほとんどの生乳が脱脂粉乳とバターに加工されてきたからである。
一方、ほとんどが国産で供給される牛乳は、都府県が出荷することで対応していた。
このことから、脱脂粉乳とバター不足の原因特定のためには日本全体の生乳生産量の推移ではなく、北海道の生乳生産量を調べる必要がある。以下の図は、農林水産省で公開されている地域別生乳生産量の数値から筆者が作成したグラフである。
北海道と他の都府県を比較すると、生産量にほとんど差が見られない。つまり、全体を見渡すと国内の生乳生産量はその約半数を北海道に依存していることが分かる。
従来から根室、釧路、稚内と、酪農しか適していない土地がある北海道に依存してきたわけではなく、都府県の生乳生産量が減少してしまい、北海道の生乳生産量への依存度が高くなってしまったことが高い依存度の原因のようだ。
先ほども指摘したように他の都府県が牛乳を、北海道が脱脂粉乳とバターを供給しているため、それぞれの製品に対する需給を調べる必要がある。
需給状況について全国酪農協会は、国産牛乳・乳製品は、需要の減少が見込まれており需給が縮小均衡状態にある。第3四半期の脱粉需給は、生産量3万3200トン(4.0%減)、消費量3万5900トン(5.5%増)。バター需給は、生産量1万4800トン(4.0%減)、消費量2万600トン(1.1%減)と発表している。
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関連リンク
- 「農水省、『バター』と『脱脂粉乳』を緊急輸入――安定的な供給を確保」(マイナビニュース、2014年10月16日)
- バター及び脱脂粉乳の追加輸入について
- CBPってどうやってつくられるの? (CBP専門サイト、2014年10月17日)
- 「牛乳乳製品の生産動向(農林水産省、平成26年8月分)
- 「上期の生乳生産量 前年比2.4%減の見込み」(農業共同組合新聞、2014年10月17日)
- 「牛乳の過剰問題」(経済産業省研究所(2014年10月18日)
- 「牛乳乳製品の生産動向(農林水産省、平成26年8月分)
- 「第78回 牛乳・乳製品から食と健康を考える会」(日本乳牛協会、2014年10月17日)
- 「生乳減産が深刻化 乳製品の需給逼迫 脱粉国際価格も上昇」(日本農業新聞、2014年10月17日)
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