日米野球を行う意味はあったのか? 侍ジャパンにたちこめる暗雲:赤坂8丁目発 スポーツ246(2/4 ページ)
日米野球が行われたが、どうもパッとしなかった。盛り上がらなかった要因として、メジャーから「超大物」と呼べる選手が来日していなかったことも挙げられるが、問題はもっと根深いところにあるのでは……。
日米両チームの“温度差”
2006年の前回大会までは、MLB選抜と戦っていたのが日本代表ではなく「NPBオールスターズ(NPB選抜)」。これまでの日米野球は、両国野球界の威信をかけたガチンコ対決ではなく、どちらかというと球宴のように世間から“花相撲”としてとらえられていた。
ところが今年から日本側の参加チームが日の丸を背負った「侍ジャパン」となったことで大会カラーが一変。唐突に真剣勝負の色合いが濃くなったのである。だが一度浸透してしまったものは、そう簡単に変えられるわけがない。再三に渡って侍ジャパンの小久保裕紀監督が「日本中が注目する真剣勝負ですから勝ちに行きます!」と報道陣にアピールしても、どこかシラけた雰囲気が漂い、今大会は結局最後までそれを払拭することができなかった。
日米両チームの“温度差”もネックとなった。大会期間中、侍ジャパンのメンバーたちが宿舎からの外出に門限が設けられるなど一貫してピリピリムードだったのに対し、MLB選抜の面々はナイターが終わると夜な夜なネオン街に繰り出したり、昼間も試合当日に各地の名所へ出かけたりと明らかな観光気分であった。勝負は二の次にして日本旅行の感覚で来日していたMLB勢を責めることはできないが、これではどう頑張ってもプライドをかけた真剣勝負など望めないのは言うまでもない。
ちなみにMLB選抜として参加した岩隈も日本メディアの取材に「真剣勝負はできないですよ。体が追いつかないですから。最初は断ろうかなと思っていたぐらいですし、やっぱり体がしんどいですからね」と包み隠さず本音を打ち明けていたほど。
全5戦の今大会は侍ジャパンが“勝ち越し”を決めたが、こうしたMLB選抜メンバーたちの姿勢を見れば戦う前から勝負の行方は決まっていたようなものである。
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