台湾でヒットしたのは代打「モスライスバーガー」……知られざる歴史に涙:仕事をしたら"脇役”が主役になった(5/7 ページ)
モスバーガーが海外進出に積極的な動きをしているのをご存じだろうか。アジアを中心に8カ国・地域に進出する中で、台湾では200店以上も展開しているのだ。現地で最も売れているのは「ライスバーガー」。その理由を調べたところ……。
ライスバーガーの開発秘話
土肥: 台湾でライスバーガーがヒットしたわけですが、考えてみたらこの商品って特徴がありますよね。コメで具材を挟んでいますが、どういったきっかけで開発されたのでしょうか?
モス: ライスバーガーは1987年に発売したのですが、当時の日本はコメの消費量がどんどん減少していて問題になっていました。そんな状況を受け、農林水産省から「コメを使って、商品化することはできませんか?」と打診がありました。しかし、コメを使った商品はなかったので「どういったモノができるのか」といったところから始まりました。
「パティ(肉)の中にコメを詰めてみてはどうか?」「から揚げの中に入れてみてはどうか?」といった声がありました。実際に、試作品を作ってみたものの、商品化にはほど遠いモノばかりでした。
そこで「日本人はコメをどうやって食べているのか?」といった原点から見直すことにしました。一般家庭のメニューは、コメ、おかず、味噌汁といった感じ。当時は、家庭でおにぎりを作ることが多かった。また、コンビニの店舗数が急速に増えていて、「おにぎりを買う」人が増えていました。こうした背景もあって「おにぎりはありかな」という考えになったんですよ。
それまでのアイデアは「コメはサブとして使う」だったのですが、ここにきてようやく「コメをメインとして使う」という動きになってきました。ただ、各店舗でおにぎりをつくるのは難しい。また、コンビニのおにぎりが普及する中で、同じ土俵で戦っても勝ち目は薄い。「どうしたらいいのか?」「こうしたらいいのではないか?」と議論する中で、とある店の天むすに着目しました。一般的なおにぎりは、コメの中に梅干しや鮭などが入っていますよね。しかし、その店の天むすは、コメからエビが飛び出ていた。それを見て「具材をコメで挟むことはできないか」という発想が出てきたんですよ。
そして「バンズ(パン)の代わりにコメを使ってみてはどうか」という提案があって、「それはいい」となりました。
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