台湾でヒットしたのは代打「モスライスバーガー」……知られざる歴史に涙:仕事をしたら"脇役”が主役になった(6/7 ページ)
モスバーガーが海外進出に積極的な動きをしているのをご存じだろうか。アジアを中心に8カ国・地域に進出する中で、台湾では200店以上も展開しているのだ。現地で最も売れているのは「ライスバーガー」。その理由を調べたところ……。
一難去ってまた一難
土肥: ようやくライスバーガーが完成したわけですね。商品開発って大変ですね。
モス: いえ、まだまだ。いろいろな問題が出てくるんですよ。開発担当者は「形は○型がいい」とか「△型がいい」とかいろいろ言っていたのですが、誰も作ったことがないモノなのでうまくできませんでした。どうしようか……となったときに、たまたま寿司ロボットを開発しているメーカーに相談したところ「できるかもしれない」という返事がありました。
寿司ロボットというのは、炊き上がったコメを機械に入れると、シャリができあがるというモノですね。メーカーに「すしのシャリではなく、円盤状にできないか」と相談したところ、「できる」とのこと。こうして、いまのライスバーガーの原型ができました。寿司ロボットを作っているメーカーがなければ、ライスバーガーの開発はもっと遅れていたでしょうね。
土肥: いやはや、開発は大変。それで日本で発売して、今でも定番商品として残っているわけですね。
モス: いえ、また新たな問題が出てきました。コメをうまくくっつけることができなかったんですよ。機械を使って、1回でぎゅーっと押さえると生産性はよくなるのですが、コメがつぶれてしまう。じゃあ弱く押さえたらうまくいくのではと思ってやったところ、コメがくずれてしまう。コメの炊き方と圧力のかけ方にかなり苦労しました。コメをくっつけるモノはあるのですが、それは使えません。
土肥: ん? なぜですか?
モス: 会社の方針として「ヘンな添加物は使わない」と決めているからです。安心安全な商品を提供するためには、そうしたモノを使わずに開発しなければいけません。
土肥: 強いチカラで押さえるとコメがつぶれてしまう。弱いチカラだとコメがくずれてしまう。じゃあ、弱いチカラで何度も押さえればいいのではないでしょうか?
モス: もちろん、その方法を試してみました。でも、その方法だと生産性が悪い。そこでどうやったかというと、焼きおにぎりを参考にしたんですよ。焼きおにぎりは、外はカリッとしていますが、中はふんわりしていますよね。この発想で、コメの表面に醤油を塗って、さーっと焼くんですよ。そうすると香ばしさが出て、中のコメ粒はきちんと残る。ものすごく苦労したのですが、なんとか開発することができました。
土肥: いまもその工程は変わらないのですか?
モス: 基本は変わらないですね。
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