海外に広がる小林製薬の「熱さまシート」――成功の裏に何が起きていた?:仕事をしたら“1億8000万枚”売れた(2/6 ページ)
熱が出たら「水でしぼったタオル」ではなく、各社から販売されている「冷却シート」を利用する人も多いのでは。冷却シート市場トップを走る小林製薬の「熱さまシート」は日本だけでなく、海外でも広がりつつあるのだ。
熱さまシートが“ひんやり”するワケ
土肥: マレーシアに進出したのは1996年で、以降じわじわと売り上げを伸ばしているようですね。冷却シートが普及する前、現地の人は熱が出たときにどのように対応していたのでしょうか?
秋田: 額に冷たいタオルを置いたり、薬を飲んだりですね。かつての日本と同じようなことをして、熱を下げようとしていました。
土肥: 額に冷たいタオルを置いても、すぐに温まってよく冷えません。また、額からズリ落ちたりもします。でも熱が出ているので、ほとんどの人は額に冷たいタオルを置いていました。まくらのそばに水が入った洗面器を置いて、温くなったらタオルを水につけて、しぼって……。「あ〜、しんど〜」と言いながら、同じことを何度も繰り返していた人も多いはず。しかし、各社から冷却シートが登場して、課題が解決されたんですよね。額に貼ってもすぐに温まらず、8時間ほど冷たい。また、寝返りをうってもはがれにくい。
なぜ冷却シートを貼るだけで“ひんやり”するのかなあ、と思ったのでちょっと調べてみました。「熱さまシート」について言えば、シートに含まれている水分が熱を吸って蒸発するので、皮フの温度を2度冷やすそうですね。また、つぶつぶの「冷感カプセル」を配合しているので、冷たさがあとからじわじわ効いて、冷感を長く保つそうで。
このように説明して「おー、なるほど」と思う人は、一度でも使ったことがある人。額に冷たいタオルを置いて熱を下げようとしている人にとっては、ピンとこないのではないでしょうか。「表面がねちゃねちゃしているけど、これってなに?」といった感じで。マレーシアに進出したときには、そんな人が多かったと思うのですが、どのようにして認知を拡大させていったのでしょうか?
秋田: 日本では、チェーンのドラッグストアや個人薬局などで商品をきちんと並べていただき、その後、テレビCMを流して認知を拡大させてきました。マレーシアでも日本と同じことをしよう……と考えていたのですが、うまくいきませんでした。
土肥: それはなぜですか?
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