海外に広がる小林製薬の「熱さまシート」――成功の裏に何が起きていた?:仕事をしたら“1億8000万枚”売れた(3/6 ページ)
熱が出たら「水でしぼったタオル」ではなく、各社から販売されている「冷却シート」を利用する人も多いのでは。冷却シート市場トップを走る小林製薬の「熱さまシート」は日本だけでなく、海外でも広がりつつあるのだ。
売り上げが伸びずに苦戦
秋田: マレーシアに限らず、海外では日本のように商品がきちんと並ぶことが難しいんですよ。どういうことかというと、日本ではドラッグストアの本部に行って、担当者と商談をして「採用」となれば、その後、商品は一斉に並びます。例えば、「1カ月後」ということであれば、ぴったり「1カ月後」にすべての店頭に並んでいます。
しかし、マレーシアでは違うんですよ。ドラッグストアの担当者と商談して、「1カ月後に店頭に並ぶ」ということが決まっても、ぴったり「1カ月後」に並ぶことは難しい。A店では「1カ月後」でも、B店では「2カ月後」、C店では「3カ月後」といった感じなので、すべての店を確認して回らなければいけません。また、現地には日本のような大規模なドラッグストアは少なく、個人薬局が多い。なので、1軒1軒回って営業をしなければいけないので、現地の人に認知していただくのに時間がかかりました。
あと、先ほどドイさんが指摘されましたが、現地の人は冷却シートを使ったことがありませんでした。なので「熱さまシート」がどういったモノなのか――それを理解していただくのに時間がかかりました。
営業マンがドラッグストアに行って、商品の説明をしても「これって本当に効くの?」といった反応。また、マレーシアの人たちは「新しいモノをなかなか受け入れない」という特徴があるんですよ。なので、ドラッグストアや個人薬局でなかなか採用されませんでした。採用されて店頭に並んでも、お客さんはなかなか手にとってくれない……という悪循環が長く続きました。
2000年代に入っても売り上げはなかなか伸びず苦戦していたのですが、2008〜2009年ごろになってようやく伸び始めました。
土肥: マレーシア市場に進出して、10年ほどが経過していますよね。なぜ、そのタイミングで売り上げが伸び始めたのでしょうか?
秋田: 「店の展開状況と広告の連動」がうまくいき始めたからですね。
土肥: 店の展開状況と広告の連動? どういうことでしょうか?
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
輸出量7年で42倍! ニッカウヰスキーが海外で売れている&売ることができるワケ
ニッカウヰスキーの商品が売れている。「NHKのドラマ『マッサン』効果があって売れているんでしょう?」と思われるかもしれないが、日本だけでなく、海外でも売れているのだ。その理由は……。
生産台数9000万台超! ホンダのスーパーカブがスゴい
世界中で販売されているスーパーカブ(ホンダ)の累計生産台数が9000万台を超え、あと数年で1億台を突破しそうだ。50年以上前に発売されたスーパーカブは、なぜ今でも売れ続けているのだろうか。ホンダの広報部に聞いた。
値段は競合の2倍――それでもカシオの電卓がインドで売れる、2つの理由
1980年代からインドで電卓を販売していたが、値段が高いため知名度の割に売れていなかったカシオ。しかし2010年発売の新商品が大ヒット、以来インドでの売れ行きはずっと好調だという。高くても売れる、その秘密とは?
なぜ中国で“甘いマヨネーズ”が売れたのか キユーピーの地道な作戦
中国で“甘いマヨネーズ”が売れていることをご存じだろうか。キユーピーが中国で展開を始めたのは1993年。当時の家庭に「マヨネーズ」はなかったが、どのようにして普及していったのだろうか。同社の広報部に聞いた。
