原料のカカオに何が起きているのか チョコレートが消滅する日:人に話したくなるコラム(2/4 ページ)
近い将来、チョコレートが消滅するかもしれない――。こんなことを言われても「スーパーやコンビニに行けば、たくさんの商品が並んでいるよ」と思われる人も多いはず。しかし、チョコレートの原料・カカオの生産量が不足しているのだ。
生産量は下落の一途
そんな厳しい条件をクリアできる地域は、世界にどれほどあるのだろうか。カカオ栽培は、そもそもメキシコや中米にそのルーツがあるのだが、現在は西アフリカ、南米、東南アジアで商業用カカオ栽培が盛んに行われている。特に、アフリカはカカオの世界生産量の約70%を占めている。ところが、このエリアでも生産量は下落の一途をたどっているのだ。
生産量世界第1位で約40%を占めるコートジボワールやガーナでは、気候変動によりカカオ栽培に好ましくない乾燥した状態が続いている。ICCO(国際ココア機関)によると、2012〜2013年の生産量はこの2カ国だけでも8万5000トンも減少している。
だがカカオ生産者の間では、気候変動よりも恐れられているものがある。それは、カカオの病害がまん延する危険性だ。過去を例にとると、1980年代に主要なカカオ生産地であったブラジルは、病害により生産量が半分に落ちるほどダメージを負ってしまった。マレーシアも1980年代にかなり大規模なカカオ栽培をしていたが、同じく病害により生産量が急激に減ってしまった。ちなみにマレーシアでは、より収益が見込めるパームオイルなどの栽培にシフトしている。
病害による被害は深刻で、ひとたび病害がまん延すればカカオの生産量が激減し正常な状態に戻すのが難しくなる。ICCOの試算によると、カカオの世界生産量の30〜40%を損失してしまう可能性がある。そこで、病気に強いカカオの品種改良といった取り組みがなされているのだが、これもそう簡単にはいかないようだ。
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