2015年の鉄道業界はどうなる? 楽しい一年になりそうだ(後編):杉山淳一の時事日想(特別編)(4/4 ページ)
2015年の鉄道業界も話題が盛りだくさん。後編は大井川鐵道のきかんしゃトーマスや新たに登場する観光列車や新型車両、地方鉄道の動きを紹介しよう。
このほかの車両・列車の主な動向
列車の動きとして残念なお知らせは、札幌発着の寝台特急の廃止だろう。2014年3月のJRグループダイヤ改正で、東京と札幌を結ぶ「北斗星」、大阪駅と札幌駅を結ぶ「トワイライトエクスプレス」が廃止。原因は車両の老朽化と、北海道新幹線の試運転によって青函トンネルの通行が難しくなるためとのこと。
「北斗星」については、多客期の臨時列車として運行する予定があるようだ。ただし、2017年の北海道新幹線開業時には姿を消すとみられる。札幌発着の寝台特急と言えば「カシオペア」もある。ただし、「北斗星」とは異なり、廃止の報道はない。もしかしたら、北海道新幹線の開業直前まで走ってくれるかもしれない。
新型車両の導入についても情報が出始めている。JR東日本は中央線の特急用としてE353系の量産先行車両を製造する。落成と試運転開始は2015年度夏以降としている。製造の目的は性能評価や技術検証とのことだから、営業運転は2016年のダイヤ改正からかもしれない。JR東日本はほかに、山手線の新型車両「E235」系が3月に落成予定。こちらも走行試験などを実施し、2015年秋から営業運転を開始する予定。
富士急行は2014年12月にJR東海の特急形車両「371系」の購入を発表している。改造と試運転の後、2015年秋からフジサン特急として営業運行開始予定だ。
往年の鉄道ファンから見れば、寝台特急の廃止傾向は残念。しかし、2015年は明るい話題のほうがはるかに多い。楽しい一年になりそうだ。
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