2015年、「会社のオキテ」はどう変わる?:サカタカツミ「新しい会社のオキテ」(1/2 ページ)
会社における組織論や人材育成について考察する本連載。連載タイトルになっている“会社のオキテ”は、今年どう変わるのか? 注目ポイントは「組織内の可視化とその効率化」。実際にトライアルを進める企業も出てきています。
あけましておめでとうございます。今年もこの連載をよろしくお願いします……と、新年の挨拶をシンプルに済ませたところで。新年最初のコラムといえば、その年を占う、もしくは予測するような内容が定番です。私も本記事で、今年「会社のオキテがどのように変わるのか」を、少しだけ予想してみたいと思います。
もちろん、1年であらゆる企業が急に大きく変化するわけではありません。しかし、ターニングポイントといえる兆しは、すでに現れてきていますよ、ということを書いていきたいと思います。
一つ目のキーワードは「コミュニケーションコスト」
今回取り上げる「変わりつつある会社のオキテ」。一つ目のキーワードは、明文化されていないもの、いわゆる「暗黙のルール」です。
暗黙のルールとは何か。典型例を挙げると、かつて日本の会社では女子社員が出勤したら「全員の机の上を拭く」「朝のお茶を入れる」といった習慣が当たり前でした(例えが古すぎると思う方もいるかもしれませんが、こういう会社は今もあります)。「会社での宴会の幹事は入社2年目が担当する」などの不文律もそうかもしれません。「直属の上司の頭を飛び越えて、その上の上役に報告連絡相談をしてはならない」といったルールもそうでしょう。会社の中で仕事をしていく上で、主に人間関係が円滑になるよう、多くの人たちが「これは常識だよね」とか「こういう点は当たり前だよ」と思っている、いわば共通認識のようなもの。
こんな話を書くと「何を当たり前のことを書いているのだ」とお叱りを受けそうですが、そうした暗黙のルールが通用しにくい時代になりつつあります。世の中の価値観そのものが大きく揺らぎ、変わりつつある時代に、その職場で働いている人たちの多くが「これは当たり前」と思える、いわば「共通認識」そのものがなくなりつつあるのです。
ここの部分のズレの調整をする時間と労力を「コスト」として見ようと考えている会社が、少しずつ増えてきています。
例えば、一昔前なら当たり前だったことであっても、きちんとドキュメントとして明文化しておき、それによって組織全体の意思疎通を円滑なものにしようとする。「分かっているだろう」「知っているはず」という部分を排除することで、曖昧さが引き起こしていた相違と、その相違を調整する時間をなくしてしまおうと考えているのです。
実際、人事担当者と話していても「何でもルールにしてしまうのは抵抗があるが、『違った価値観の人が、同じ場所で働いている』という意識を強く持って、そのための仕組みを整備していかないと、その調整のための時間と労力がかかりすぎます」という悩みをよく耳にします。
当然のことといえばその通りなのですが、現状、こういう部分は会社では、ほぼ未整備です。なぜなら、一定の年齢よりも上の人間がズレを認識できないからです。会社とは、働くとは、組織の一員になるということは、世代を超えて大きくズレはないでしょう。しかし、少しずつ相違が生まれている。その場では少しでも、組織全体で見たら大きくなってきます。
そのズレを調整するために、本来の仕事(組織を円滑に機能させること自体も、ある意味では仕事なのですが)をする時間を削ってしまうことのないよう、企業は手を打ってくるはずです。
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