コンビニの「野菜」が、なかなか売れない理由:仕事をしたら“2015年”が始まった(後編)(4/5 ページ)
「ホウレンソウ」「トマト」「キュウリ」――。コンビニの棚に野菜が並んでいるが、「よく売れている」という話を聞いたことがない。現役オーナーを務める川乃もりやさんに聞いたところ「売れるわけがない」ときっぱり。その理由は……。
“いいモノ”がなかなか手にできない
川乃: スーパーや八百屋は農家や卸業者などを介して野菜を仕入れているので、質の高い商品が並んでいるんですよね。コンビニも卸業者などから仕入れていますが、付き合いが短いので“いいモノ”がなかなか手にできないんですよ。あと、スーパーや八百屋は野菜の販売期間が長いですよね。
土肥: 野菜の販売期間が長い?
川乃: 例えば、キャベツがしおれてきたら、その部分をはぎとって販売する。それでも売れなかったら、2分の1、3分の1などにカットして販売する。それでも売れなかったら、サラダにして販売する。あの手この手を使って、なんとか売ろうとするんですよね。
一方のコンビニはどうか。ほとんどの商品がパッケージされているので、販売期間が短いんですよ。キャベツがしおれてきたら、その部分をはぎとることができませんし、カットして販売することもできません。ましてやサラダにして販売……なんて手間のかかることもできません。
一部の商材は、八百屋のように丸ごと仕入れて販売していますが、やはり八百屋の域に達するまでには経験が必要。また、手間のかかる……いわゆる非効率なことはできるだけ避けてきたコンビニが「野菜でもうけよう」と思っても、なかなか難しい。
スーパーが小型化して、ミニスーパーでコンビニに勝つ。コンビニが大型化して、ビッグコンビニでスーパーに勝つ。いまのところ、どちらも難しいですよね。野菜の販売を見ても分かるように、やっぱり「餅は餅屋」なんですよ。「ミニスーパーでおにぎりを販売しますー」「コンビニで野菜を販売しますー」といってもすぐには売れません。
ただ「すぐには売れない」かもしれませんが、ノウハウを積んでいけば「やがて売れる」かもしれない。ミニスーパーが勝つか、それともコンビニが勝つか。それは分かりませんが、両業態の厳しい競争は、今後も繰り広げられるでしょうね。
関連記事
- コンビニコーヒーの味に違いはあるの? 科学的に分析した
外出先で「ちょっとコーヒーを」と思って、カフェチェーンに立ち寄る人も多いのでは。ファストフードやコンビニでも気軽にコーヒーを飲むことができるようになったが、その味に違いはあるのか。味を分析できる機械を使って調べたところ、意外な事実が……。 - なぜミニストップのソフトクリームは真似されないのか
某コンビニのPB商品がヒットすれば、競合他社が同じような商品を販売する――。コンビニは“真似の歴史”を刻んで、拡大してきたわけだが、真似されないモノもある。そのひとつが、ミニストップのソフトクリーム。その理由は……。 - 丸亀製麺のうどんが、インドネシアでウケた理由
日本全国で讃岐うどんが広がったのは2002年ごろと言われているが、海外でもファンが増えつつあるという。トリドールが運営する「丸亀製麺」は海外進出に積極的で、数年前にオープンしたインドネシアとタイの売り上げが好調だ。その理由は……。 - 輸出量7年で42倍! ニッカウヰスキーが海外で売れている&売ることができるワケ
ニッカウヰスキーの商品が売れている。「NHKのドラマ『マッサン』効果があって売れているんでしょう?」と思われるかもしれないが、日本だけでなく、海外でも売れているのだ。その理由は……。 - 台湾でヒットしたのは代打「モスライスバーガー」……知られざる歴史に涙
モスバーガーが海外進出に積極的な動きをしているのをご存じだろうか。アジアを中心に8カ国・地域に進出する中で、台湾では200店以上も展開しているのだ。現地で最も売れているのは「ライスバーガー」。その理由を調べたところ……。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.