モンゴル出身の3横綱は裕福な家庭で育ったのに、なぜ強いのか:赤坂8丁目発 スポーツ246(2/4 ページ)
大相撲初場所で横綱・白鵬が33回目の優勝を果たし、大鵬を抜いて歴代最多記録をマークした。モンゴル人力士が強い理由として「日本人にはないハングリー精神があるからだ」といった声があるが、本当にそうなのか。
白鵬の推定年収は3億5000万円以上
言うまでもないが、力士の年収は番付が上になればなるほどアップする。十両から上の番付の関取には日本相撲協会から月給が支給され、懸賞金、優勝賞金、三賞の受賞賞金、トーナメント戦の賞金などの能力給も別途手にできる。
月給だけを合算した年俸だけでも横綱は4000万円以上、大関は3000万円以上、小結及び関脇は2000万円以上、前頭で1500万円以上、十両で1200万円以上――が、おおよその相場。この基本収入に加えて関取には前述の能力給や、さらに人気力士ならばCMやテレビ番組出演料など副収入も加わることになる。
ちなみに白鵬の2014年の基本年収は推定で約2億4000万円。これにCM契約料やイベント、テレビ番組出演料などあらゆる副収入をプラスすれば「3億5000万円は軽く超える」とみられている。
2014年5月のモンゴル国家統計局の調べによると、国内において際立って経済成長の著しい首都ウランバートルに住む同国人の平均月収は98万714トゥグルグ(約5万9000円)。首都を離れれば、さらに平均月収は低下し「ひと月で1万円あれば、一家4人を十分に養える」とも言われている。
モンゴルの物価は都市によってまちまちだが日本と比べて5〜10分の1以下と言われ、とにかく格段に安い。そういう視点でみれば、モンゴル人が白鵬に憧れ、日本の大相撲に入って関取を目指すのは一攫(いっかく)千金を夢見る賢い選択肢と言える。
白鵬クラスは別次元だが、例えそこまで大成しなくとも出稼ぎ目的で来日してくる多くのモンゴル人力士たちにとって力士という職業は魅力的に映るだろう。十両より下の番付の力士は月給がなく、2カ月に1度の間隔で支給される本場所手当のみで、その額は幕下で15万円、序の口で7万円だ。しかし、このクラスの力士がひと月に1万円ずつの仕送りをしても、母国で暮らすモンゴル人力士の家族にとっては十分過ぎる額になるはず。だからこそモンゴル人力士の親は喜んで、我が子を日本の大相撲に行かせたがる。
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