米国で絶好調の「タコベル」は本当に再上陸するのか:人に話したくなるコラム(2/3 ページ)
メキシコ料理のファストフード店「Taco Bell(タコベル)」が、日本に再上陸する話が浮上している。ファンにとってはたまらないニュースだが、実際のところどうなのか。専門家らの見方によると……。
日本への進出はまだ先!?
実のところタコベルは、1980年代に一度日本に上陸している。だがあっという間に撤退してしまった。そして、長い沈黙を経て、このタイミングでタコベルが再上陸――ということになるかもしれないのだ。ただ、タコベルは本当に再上陸するのだろうか?
結論から言うと、残念ながら今のところ、タコベルは海外での出店目標とエリアを絞ってはいるが、日本への進出はまだ先になるかもしれない。というのも、専門家らの見方では、同社が重要視している国の中でも、まずはすでに店舗がある国から攻めるほうが、企業の戦略としてはリスクが低く確実だからだ。とすると、すでに店舗のある英国(4店舗)、韓国(4店舗)、チリ(14店舗)とインド(7店舗)での出店を優先することになるだろう。
これまでの例を見れば、タコベルは海外出店に対してかなり慎重に進めている。インドを例にとると、2010年にインドのバンガロールに1号店をオープンさせ、当初の目標では2015年までに100店舗を出店する計画だった。しかし、その計画を2016年までに25店舗の出店目標とトーンダウンさせている。その背景には、日本だけでなく英国や韓国、ポーランドなどで過去に一度は撤退したというトラウマがあるのかもしれない。そう考えば、今回の海外進出宣言もトーンダウンする可能性も否めない。
そんなタコベルだが、実は今回の海外展開はこれまでとは違うという見方もある。というのも、米国内でのビジネスが絶好調で、それが海外展開を加速する後ろ盾になるとも言われているのだ。タコベルは米国内においてヤム・ブランズ社全体の営業利益の3分の2を稼ぎ出している。しかも、店舗当たりの年間売上高が平均130万ドル(約1億5292万円)と全ブランドの中で一番高く、運営コストも効率がいいため粗利が20%ほどある。
さらに、近年はヒット商品も生んでいる。2012年にフリトレー社と共同開発した、ドリトスのナチョ・チーズ味をタコスのシェルに使用した新商品「ドリトス・ロコス・タコス」は、爆発的ヒットとなった。なんと、発売開始からわずか10週間で1億個を売り上げ、タコベル史上最大のヒット商品になった。さらに、同年だけでも10億ドル以上(約1184億円)を売り上げたというから恐ろしい。
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