「食べる政治」仕掛け人・増沢諒さんインタビュー:なぜ”食+政治”?(2/2 ページ)
毎月テーマに沿って「冊子+食材」というスタイルで発行している雑誌「食べる政治」をご存じだろうか。仕掛け人は、東京都知事選で家入一真さんのマニフェストを担当した増沢諒さん。「ネット+政治+食」というアプローチの意図は……?
――「食べる政治」は、毎号本誌の内容と食べ物がセットになっています。取材はどのように?
増沢: 自分が2泊3日で現地に行って取材しています。創刊号はジビエを特集したのですが、「きょう鹿が取れたから見に行く?」といったことを言われたり。記事には書けないような生々しい話を聞くこともありましたね。
――とはいえ、「政治」を扱うと表現が難しい部分が多々あると思います。編集する際に気をつけていることは?
増沢: まず、オピニオンは絶対に出さないようにしています。また、現状を伝えるだけではなく、背景や政策まで触れています。ただ、農業バンザイ、地方バンザイというのは“寒い”ので、例えば「実際、どれくらい収入があるものなのか」といった突っ込んだ話や、ネガティブな話もちゃんと載せるようにしています。
――なるほど。雑誌には、セットになっている食材で作ることができるレシピも掲載されていますね。
増沢: プロジェクトに協力してくれる人が20人ほどいるのですが、その中に大学四年生のカフェをやっている女子がいて、彼女や皆と相談して決めています。自分で食べられるものと、友達と一緒のパーティーで出せるもの、ちょっと手が込んでいるもの、この3つのレシピを出すようにしています。
――今後、扱ってみたいテーマや食材を教えて下さい。
増沢: 過疎化の話と絡めて名産品のキノコを送ったり、TPPを取り上げて豚肉を送ったり、日本食文化をテーマにクジラを送ったり、水産資源の乱獲を書きつつマグロを送ったり……。最初はテーマ先行で考えていたのですが、買ってくれる人は「美味しそうかどうか」で決めてるんですよね。これが分かってきたので、最近は食べ物から考えるようにシフトしています。
――「食べる政治」を出すことで、読者に伝えたいメッセージはどんなことでしょう? また、増沢さんご自身は、今後どのように政治と向き合っていきたいと考えていますか。
増沢: 「食べる政治」を読むことに限らず、物事の背景を考えるきっかけになってほしいです。同世代の中には、会社に入って2、3年で疲れて転職してしまう人も多いですし、そもそも将来への想像力がない人が増えているように思います。先の見えない時代と言われますが、考え次第ではチャンスやワクワク感にも変えられる。若くても政治を目指している人や、官庁の中で頑張っている人もいますし、どういう形でも応援していきたい。
僕もいずれは議員になりたいと考えています。自分だけが当選するのではなく、ある1つの自治体に同世代数人で政党や会派を作って一緒に当選できれば、インパクトがあるのでは。いまの予算や法制度は若い層に向いていないので、それを変えていきたいですね。
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