自分のキャリアデザインは自分で考えるしかない、という現実:サカタカツミ「新しい会社のオキテ」(2/3 ページ)
バブル大量採用世代&団塊ジュニア世代は現在、働き盛りの40歳代。40代社員が多いという企業は多いはずですが、半面「歳を取っても会社で偉くなれなくなった」のも事実。もし明日、会社から放り出されたら……あなたは次に何の仕事をしますか?
年功序列は終わったが、年次管理は終わっていない?
歳を重ねるだけでは、企業の中では偉くなれなくなったということは、もはや明らか。それでは組織の中で「歳」という概念そのものは、取り払われたのでしょうか。「うちは実力主義だから、何歳だろうが、何年入社だろうが関係はない、まったくのフラットに管理している」という企業が増えてきているのも事実です。が、すべての企業がそうではなくて、案外根強く残っているのが「年次管理」というシステムです。右のデータでよく分かります。
このデータは「貴社において、人事上の処遇を決める上で従業員の年次管理を行っていますか」という質問に対する回答です。制度として年次管理をしている企業がまだまだあるということ以上に「慣習として」年次管理している企業が、一定以上あることに驚かされます。仕組みとしては年次管理をしないけれども、結果としてそういう管理方法を取っている、ということです。
すべてがフラットな状態だというのならば、年次管理も不要になります。この調査だと、3割以上の企業がすでに年次管理は行っていません。しかし、6割近い企業はいまだに行っている。年次で管理することが、組織全体をまとめ、管理するには適切な方法だと考えているのでしょう。年功序列という仕組みはなくなりつつあるが、年次では管理する方法はまだまだ強固である――この事実に、ある種の企業の意思のようなものが感じられます。
企業は「個人の」キャリアデザインを意識しているか?
年功序列がなくなりつつあるということは、黙って歳を重ねても出世できないということです。だとすると、個人は「この先どうすればいいのか」という、いわゆるキャリアデザインを真剣に考える必要があります。組織の中で求められる人材であり続けられればいいのですが、残念ながらそうではない、という人も一定数はいる。企業が従業員のキャリアについてどのように考えているのか、それが分かるのが以下のデータです。
これは「貴社では、従業員に対して、キャリアデザイン研修を実施していますか。それは、どのようなタイミングで実施していますか。実施している年齢階層にあてはまるものすべてをお答えください」という質問への企業の回答です。五十歳代になって実施する企業が多いというのも驚かされますが(定年退職直前にキャリアデザイン教育を実施しても間に合わないですよね)実施していない、という企業が多いのが一目瞭然です。
「そんなこと、自分で考えるべきだろう」という声が聞こえてきそうです。実際、企業が個人の働きかた、キャリアデザインへの取り組みにどこまで口を挟むのか、考える余地はあるでしょう。
ただ、若いときからそういうことをきちんと意識していれば別ですが、新卒で入社、社内で仕事をしながら教育を受け、できること(=それに汎用性があるかどうかは別にして)を増やしながら、ずっと組織の中で育ってきた人にとっては、今さらキャリアデザインと言われても、何をすればいいのかまるで分からないということが少なくありません。
今のままでは「気がついたら組織から放り出され、これまで働いてきて身についたいろいろなことが、実は世間的にはまったく価値のなかったもので、誰も雇ってくれない」ということになる危険性が高い。もうやり直しがきかない年齢になってから、その現実を突きつけられる可能性が高いのです。
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