会社が社員を「管理」することで、社員の働くモチベーションが向上する時代?:サカタカツミ「新しい会社のオキテ」(1/2 ページ)
2015年、会社の組織論や人材育成法はどう変わるのか。サカタさんが注目するのは組織内の可視化と、さらにそれを「管理」すること。一見ネガティブにも見えますが、実はこれによって社内のさまざまな問題が解決される可能性があると言います。
前回このコラムで“「企業が従業員の管理をする」、その「管理」に対する考え方が変わってきた”と最後に書きました(参考記事)。「管理」という言葉に抵抗を持つ人も少なくないと思います。辞書によれば、その意味は「組織を取りしきったり、施設をよい状態に維持したりすること」とあります。取りしきられるという言葉に、なにやら堅苦しく嫌な感じを持ってしまうのかもしれません。
しかし管理する立場(企業)からすると、文字通り「よい状態を維持する」必要があるのです。そのための手法が今年は少し変わりそうだ、という話を。
今まで多くの企業は組織を管理できていなかった?
「そんなことはないだろう」と思われるかもしれませんが、いままで多くの企業は、働く個人をうまく管理できていませんでした。もちろん何もしていなかったわけではなく、さまざまな数字を設定して、その数字をベースにいろいろなことを判断してきました。勤怠管理などは典型例ですし、業績評価などを細かく設定している企業などは、従業員の業務・業績管理ができないと昇格・昇進の管理もできません。なので、正しく言い直せば、多くの企業では「管理はしていたが、うまく活用できていなかった」のです。
例えば、ある企業が新卒を採用したとします。その採用基準は、いままでの従業員の活躍した度合いや、学歴を中心としたその経歴、身についていた能力などとひも付けて設定するのが理想的です。しかし、そもそも新卒採用後の従業員について、その振り返りをしている企業は、それほど多くありません。
最近でこそ、入社後3年目あたりまで追跡をしている、という企業も出てきていますが、ほとんどの企業はいわば「採ったら採りっぱなし」。採用時点では「採用基準に基づいて選考したデータ」が残るのですが、その後の活躍とひも付けられることがないため、結果的に管理しているデータが活用されることはないのです。
業績についても同様です。ある従業員が設定した目標に対して、どの程度できたかというデータは管理されています。しかし、どういう能力やスキルを持った従業員がその業績を上げているのか、ということまでは管理されていません。いや、データそのものを持っているケースは多いのですが、その関係性を整理した状態になっているという企業は、ほとんどないのが現状です。
したがって「どういう従業員が活躍するのか」ということは分からないまま。ある従業員が業績を上げた、もしくは上げなかった、ということは分かる。けれども、それ以上のことについてはお手上げ、ということなのです。
能力についてはまだあります。規模の小さな企業なら、従業員それぞれがどんなスキルを持っていて、どんなことが得意分野で、資格を持っているかどうかなどを相互に把握できています。が、ある程度のサイズ以上の企業になると、当然分からなくなる。あるプロジェクトが発足したとして、必要とされる能力がハッキリして、その能力を持っている人物をアサインする必要があるのに、社内で見つけられない(本当は社内にいるにもかかわらず)、というケースも。
人事部がデータベースとして持っている可能性はあるのですが、そのデータにアクセスできる人は限られる、もしくは、データベースそのものがアップデートされていなくて、結果的に使い物にならない……と、こういう事例は少なくありません。あなたの身の回りでもそうしたことが起きていませんか?
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