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宇宙開発レースに参加している「HAKUTO(ハクト)」の今後課題は資金面(2/2 ページ)

国際宇宙開発レース「Google Lunar XPRIZE」に日本から唯一参加中の民間月面探査チーム「HAKUTO(ハクト)」が、今後の打ち上げ計画を発表した。同チームは月面探査車を使った縦孔(たてあな)の調査を行いたい考えだが……。

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縦孔の探査も行いたい

 2016年後半に予定されている打ち上げでは、SpaceX社のロケット「Falcon9(ファルコンナイン)」を使用。アストロボティックの月面着陸船「Griffin(グリフィン)」に、ムーンレイカーとテトリスを“相乗り”させる。グリフィンには、アストロボティックの探査車「Andy(アンディ)」も搭載されているので、2チームが同時に月面着陸して、それぞれがレースのミッション達成を目指すことになる。

 袴田氏によると、グリフィンへの相乗りは、開発スケジュールやコスト面を検討し、ミッションの成功率を上げるために踏み切ったという。どちらかのチームがミッションを達成した場合、賞金はハクトとアストロボティックで分配するそうだ。

 アストロボティック・テクノロジーのジョン・ソーントンCEOは、事業について「我々は宇宙版のDHLやFedExを目指している。これからさまざまな宇宙ミッションにおけるアクセス手段を提供していく」と説明。レースについては「いわば宇宙開発のF1。グーグルの賞をめぐって皆で戦っていく。ムーンレイカーも月面に着陸した後はアンディが競争に勝つから覚悟しておいてほしい」と語った。

 ハクトのチームは、月面に発見されている縦孔(たてあな)の探査も行いたい考え。吉田氏は「月面は真空で温度差が激しいという厳しい環境だが、縦孔の下や洞くつに人が移住できる可能性があるし、地底を調査することで科学的な発見が期待できる」と調査の意義を強調する。

 だが、この計画には20億円強が必要となる。確実に実行する最低限のプロジェクトとしてテトリスを使用した調査も検討しているが、これにも10億円のコストがかかるという。袴田氏によると「ミニマムなミッションでも10億円全ては調達できておらず、現状は半分程度。縦孔のミッションは魅力的なので、ぜひ実行したい」と、さらなる資金調達に力を入れていく考えを示した。

 現在、ハクトが協力して、アニメ『新世紀エヴァンゲリオン』に登場するアイテムを月面に送るという「ロンギヌスの槍を月に刺すプロジェクト」をクラウドファンディングサービス「READY FOR?」で募集している。しかし、発表後約1カ月で集まったのは約3500万円、目標金額1億円が達成できるかは不透明な状況。今後の資金調達の成否には、より広い層の関心を呼び起こし、なおかつ活動への理解が広がる必要がありそうだ。


月面着陸船グリフィンから発進するムーンレイカー(イメージ)
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