中古レコードの「バイヤー」って何をしているの? 買い付け・値付けの奥深さ:仕事をしたら“レコード”が売れた(4/7 ページ)
中古レコードを扱う「HMV record shop 渋谷」が、2014年にオープンした。レコードを店頭に並べるために、バイヤーたちは買い付けに回ったというが、どういった苦労があったのか。店の責任者で、バイヤーとしても活躍する小松正人さんに聞いた。
小松: たくさんありますね。ただ、昔からバイヤーとして活躍されている人は「激安のモノが減ってきた」とおっしゃっています。その背景には、インターネットの普及があるんですよ。ネットオークションの履歴を見ることができるので、私たちが買い付けに行って「これとこれとこれが欲しい」と言うと、その場で1点1点、ネットで確認される。そうなると、世界共通のプライスになるんですよね。
土肥: 今と違って、昔のバイヤーは職人的な部分がかなり必要だった?
小松: 職人でなければ、できなかったでしょうね。弊社でもバイヤーができる人間はひと握りしかいません。経験を積めば積むほど目利きのチカラは養えるのですが、それだけではダメなんですよ。
土肥: どういうことでしょうか?
小松: 仕事だから覚える……という姿勢では、なかなか成長しません。プライベートでも「この歌手の曲をよく聴く」「このジャンルのレコードをよく買う」という人でなければ、この仕事には向いていません。ネットを見れば、過去の価格を見ることができます。この情報はとても重要なのですが、それだけではないんですよ。自分の時間、自分のお金を使って、音楽を聴く。そうした経験を積まなければ、仕事を覚えることが難しいんですよね。
土肥: 「好きこそ物の上手なれ」という意味ですね。音楽が大好きな人は仕事に熱中できるから、一流のバイヤーとして成長できる。
小松: ですね。
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