高齢者がお金を使えないわけ:INSIGHT NOW!(1/3 ページ)
オレオレ詐欺の被害総額は年間559億円以上。こうした詐欺に流れるお金をシルバービジネスへ回すために必要なこととは何か。
変な話だが、「オレオレ詐欺」の報道を見聞きしたとき、随分金持ちだなと思われたことはないだろうか。もちろん被害者が、である。いくら息子のため(娘を装うケースはほとんどない)とは言え、数百万円、ときには1000万〜2000万円をポンと支払えるという事実が、そう思わせる。
やっぱり今の高齢者は金持ちなんだ、と誰もが思うだろう。年金をたくさんもらって、バブルで儲けた資産で遊んで暮らしているんだろうな。なのに、高齢者割引とか優遇するなよ。そんな風に思っている人は多いに違いない。
いわゆるオレオレ詐欺に代表される、「特殊詐欺」と呼ばれる犯罪の統計(関連リンク)を見ると、平成26年の1年間で、警察による認知件数が1万3371件、被害総額は559億4000万円に上る。実に「被害者単価」は平均412万円である。ご承知の通り、特殊詐欺の被害者はほぼ高齢者である。オレオレ詐欺被害者の92.1%、還付金詐欺の93.4%、金融商品詐欺の87.6%が65歳以上だ。警察に認知されていないものを含めたら、想像を超える量の高齢者がだまされていることだろう。要するに、犯罪者たちは「お金持ちの高齢者」を的確にターゲティングしている。
確かに高齢社会白書を見ても、(基データの都合で2人以上世帯に限定されているが)、高齢世帯は平均2209万円で、全世帯平均1858万円よりも資産がある。1000万円以上の貯蓄がある世帯も、各金額レンジで全世帯比より高齢者世帯比の方が高い割合で存在している。もっとも長年、働いてきたのだから当たり前と言えば当たり前である。
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