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高齢者がお金を使えないわけ:INSIGHT NOW!(2/3 ページ)
オレオレ詐欺の被害総額は年間559億円以上。こうした詐欺に流れるお金をシルバービジネスへ回すために必要なこととは何か。
貯蓄の目的は「病気・介護への備え」
しかし、後期高齢者である自分の親の生活を見ていると、疑問に思うことがある。世代的に年金はそれなりにもらえているし、持ち家なので家賃もかからず、資産もそこそこある(らしい)。なのに、爪に火を灯すように、1円でも安いものを選んで買う。いつまでも壊れかけの家電を使い続け、発火すると困るからと説得してようやく買い替える。一時が万事、そんな感じなのである。せっかく貯めたお金をもっと好きに使わないともったいないと、私などは思うのだが、欲しいものもないしなどと言う。周囲と話をしていると、それほど珍しいタイプでもないようだ。
高齢者の経済状況統計にもそれは表れている。先の貯蓄額調査対象の高齢者に質問すると、貯蓄の目的の62.3%は「病気・介護への備え」で、趣味や旅行のためだと答えた人は6.2%しかいない。決して、ただ余っているのでも、遊ぶために無駄に抱え込んでいるのでもない。不安なだけなのである。
彼らが予想していたよりはるかに長生きする世の中になってしまった。いつまで生きるか分からない。残りの人生、頼れるのは自分のお金だけ。これでは、多少余裕があるくらいでは、高齢者はお金を使えない。政府や世間が、金銭による自助努力ばかりをうたうので、不安は募る一方だ。おまけに、犯罪者が資産を狙ってありとあらゆるだましのテクニックを駆使する。誰も信じられない。守らなきゃ。守らなきゃ。しかし、彼らの不安はなかなか理解されない。
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