高齢者がお金を使えないわけ:INSIGHT NOW!(3/3 ページ)
オレオレ詐欺の被害総額は年間559億円以上。こうした詐欺に流れるお金をシルバービジネスへ回すために必要なこととは何か。
なぜ振り込め詐欺の被害者が悪いのか?
例えば先日、ネットで流れていた新聞記事で読んだのだが、振り込め詐欺で捕まった被疑者に罪悪感はないらしい。「高齢者がカネを持っていて何の意味がある。おれたちがそのカネで日本の経済を回してやっているんだ。」との強弁である。
さらに、この記事には「そうだ貯めこむな。(振り込め詐欺の)やり方は間違っているが一理ある」などというコメントがたくさん付くのである。基本的には犯罪者と意識は変わらない。
余っているお金をただ抱え込んでいるのだと、なぜ分かるのだろう。振り込め詐欺にあうと、なぜかだまされる被害者が馬鹿なのだと責められる風潮があるが、どう考えてもおかしい。それがどのような形であれ、子どもへの愛情によってだまされたにもかかわらず、当の子どもに責められることもよくあるらしい。だます方よりだまされる方が悪い。貯めこんだカネを抱え込んでいる方が悪い。何だろう、この考え方。そんな風な社会だから、人間関係だから、高齢者に安心してお金を使ってもらえないのだ。
いろいろな意味で、もったいないと思う。不安故に貯め込まれ、結局使い切れなくなる大量の資産。高齢者が安心して、自分の楽しみや幸せのためにお金を使えるようにできないだろうか。その分のお金が、若い世代に正しく落ちる循環が作れないだろうか。医療や介護だけでなく、もっと若者のためになることに高齢者がお金を使い、例え使い切っても安心なセーフティネットを作れないだろうか。高齢者と若者が「win-win」になるシルバービジネス。超高齢社会の日本はまだまだこれからの優良市場である。1つ考えてみてはいかがだろうか。(日野 照子)
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