宇宙からの画像で、どんなビジネスが生まれるのか:仕事をしたら“宇宙”に飛んだ(中編)(3/5 ページ)
小型の人工衛星を開発しているアクセルスペースは、2020年をめどに衛星を50機ほど打ち上げたいという。そんなにたくさん打ち上げてどんなビジネスを始めようとしているのか。同社の中村CEOに話を聞いた。
最新画像は無料にしてもいい
土肥: 大きい人工衛星のデメリットは、頻繁に画像を撮影できないこと。しかし、小型衛星をたくさん打ち上げれば、頻繁に撮影することができるというわけですね。でも、無人の航空機「ドローン」を使えば、頻繁にしかも細かい画像を見ることができます。
中村: 宇宙から地球を撮影することができる、という話をすると、細かい画像を意識される人が多い。でも、細かく見えても情報としては価値を生まないこともあるんですよ。
カメラの望遠レンズを想像してくだい。遠いところから細かいモノを見ようとすると、どうしても見える範囲が狭くなってしまいますよね。一方、私たちの小型衛星の場合、解像度は粗いですが、撮影できる範囲は50キロほど。で、5メートルほどのモノが見える。これはドローンにはできません。
土肥: 小型衛星から撮影した画像を売って、商売をされるのですか?
中村: 私たちとしては、基本的に最新画像は無料にしてもいいと思っています。画像を見ると料金が発生するのではなく、画像から得た情報に料金が発生する仕組みを考えています。例えば、植物の成長具合であったり、工事の進ちょく状況であったり、混雑具合であったり。要するに、何をみるのか。その情報を提供することで、新たなビジネスが生まれると思っています。なので、最新版の画像を見るだけであれば無料でいい。
土肥: いまの画像は無料だけど、1日前は○○円、3日前は○○円といった感じですか?
中村: はい。画像を処理する場合には料金が発生するとか。
土肥: 実現すれば、ビジネスの幅が広がりそうですね。
中村: まずはユーザーを増やさなければいけません。現状は、ユーザーが「ここを撮影してください」というリクエストがあれば、「分かりました。では準備をして、数日後に撮影しますね」といった流れ。でも、これではダメ。ユーザーが「ここの画像ないですか?」という依頼があれば、必ず「ありますよ」と言えるような仕組みをつくっていかなければいけません。
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