賛否両論ある楽天・大久保監督の「デーブ流儀」:赤坂8丁目発 スポーツ246(2/4 ページ)
東北楽天ゴールデンイーグルスに大久保博元氏が監督に就任した。過去にあったスキャンダルを記憶している人は多く、一部のファンからは反対の声があったが、彼の監督としての手腕はいかほどなのか。スポーツライター・臼北氏によると……。
納得させるまで徹底的に説明
実際にこういう話もある。大久保監督は西武コーチ時代から順天堂大学の教授に個人的に弟子入りし、プロ野球指導に役立てようと心理学や生理学、さらには栄養学、物理学と他分野に渡るマンツーマン教育を今も定期的に受け続けているのだ。
楽天で2012年に一軍打撃コーチに就任した際には、その大学教授や関係者の協力でチーム全員の心拍数を計測。緊張の度合いが、どのような形でプレーに影響するかをデータ化して詳細にチェックしていた。これには多くの選手たちから「こういうやり方があるのか」と感嘆の声が上がり、データベースを基にする斬新な“デーブ式指導法”には当時の星野仙一監督(現楽天シニアディレクター=SD)も「オレのほうも教えられるぐらいだ」と目を細めていた。
「デーブは現役時代の自分の実績が人に誇れるものではないことを理解している。だからこそ経験則だけで選手にモノを押し付けるような指導は基本的にしない。最初に物事を説明する時に『○○だから○○に結びつく』という理論を提示することを心がけている。それでもまだ選手が疑問を持っているようならば、とにかく納得させるまで徹底的に説明を重ね続けるのが彼の流儀。
デーブは『納得もしていない練習をしたとしても選手は自分の身になりません。だから選手たちを納得させることもボクの仕事』とよく口にしていますよ。指導者として、どうやったら選手たちが真面目に練習に取り組むことができるか、そして効果的にチーム力を向上させられるかを常に考えている」(楽天関係者)
日本プロ野球界で指導者を目指す場合、やはりどうしても大きく物を言うのは過去の実績だ。そういう旧態依然とした世界だから実体験を基にした指導しかできない人物が多い中、大久保監督のように「チームが強くなるためならば何でもする」と新しいことに率先して取り組んだり、門外漢のことまで一からすべてを学ぼうとしたりする努力家は極めて珍しい。
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