連載
中国人観光客が「爆買」する日本の炊飯器は何がスゴいのか:窪田順生の時事日想(2/4 ページ)
中国人観光客の爆買によって、日本製の炊飯器が売れている。そんなことを聞くと、「多くの中国人は日本の技術力を高く評価しているんだなあ」と思うかもしれないが、本当にそうなのか。売れている背景を探っていくと……。
中国市場ではそこまでバカ売れしていないものが、免税店で飛ぶように売れる。このような日本製炊飯器の特徴を考えると、「ブランド」という言葉が浮かび上がる。
よく耳にするが、中国では「日本製」というだけで価値がある。
中国人の知り合い何人かになぜ日本の炊飯器がそんなにいいのかと聞いたところ、「釜」を挙げる人が多かった。例えば、中国本土でも人気の三菱IHジャーには「本炭釜」という純度99.9%の炭素粉末を圧縮し、最高約3000度で焼成したものを材料とした炭釜がウリなのだが、これは「職人が丹精込めてひとつひとつ削り出した」という。こういう「正真正銘のメイド・イン・ジャパン」がたまらないんだとか。
もちろん、13億人もいるのでこういう“ブランド信仰”に否定的な人たちもいる。北京日報は、中国製と日本製でそれぞれ炊飯して、どちらがうまいかという昔のペプシとコーラの比較広告みたいなことをしたところ、中国製を選んだのは5人で、日本製を選んだのは3人だったという、なんとも評価が下しにくい微妙な話を掲載していた。「日本製が良いというのはブランド信仰で気のせいですよ」とクギを刺したいのだろうが、こういうスピン(情報操作)が横行すること自体が、中国人の間で日本製が揺るぎない信仰の対象となっている証だろう。
関連記事
- なぜ“バターみたいなマーガリン”が増えているのか
夏の猛暑が原因で、昨年スーパーの棚からバターが消えた。ここにきてようやく商品が並ぶようになったが、最近は“バター風マーガリン”が売れているという。少し前まではマーガリンがバターをうたう商品は少なかったのに、なぜ急に増えてきたのか。 - 「LEDよりも省エネで明るい」という次世代照明がなかなかブレイクしない理由
「CCFL(冷陰極管)」という証明をご存じだろうか。LED照明にも負けない省エネで低価格な製品だが、筆者の窪田氏は爆発的な普及は難しいという。なぜなら……。 - なぜ日本人はウイスキーを「水割り」で飲むのか?
ドラマ『マッサン』効果でウイスキー市場が盛り上がっている。各社の売り上げが伸びている一方で、気になることも。それは「水割り」。海外の人たちは「ストレート」や「ロック」で飲んでいるのに、なぜ日本人の多くは水割りを好むのか。その理由は……。 - マクドナルドが異常に叩かれている、もうひとつの理由
マクドナルドがマスコミからボコボコに叩かれている。「SNSの普及によって、異物混入で泣き寝入りしていた消費者の声がマスコミに届くようになったからだ」という声もあるが、筆者の窪田氏は「異物混入のせいだけではない」と見ている。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.